経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は、100%以上で推移しており、現在のところ経営は安定していると言えますが、財源となる給水収益は年々減少を続けており、今後、施設更新を行うにあたり、いずれは100%を下回ることが予測されることから、財源の確保に向けて検討する必要があります。「流動比率」は100%を大きく上回っており、支払能力に問題はありません。「企業債残高対給水収益比率」については、類似団体や全国平均と比較して高い状況が続いていますが、これは過去の拡張事業及び施設整備事業に伴う発行規模の大きい企業債が影響しており、残高は僅かながら減少傾向で推移しています。今後も、企業債の活用を予定していますが、借入額の抑制に努めながら財源の調整を行う必要があります。「料金回収率」は、これまでのところ100%以上を維持しております。効率性について、「給水原価」は全国や類似団体の平均より低く推移していますが、「施設利用率」は、人口減少のほか、大規模事業所の閉鎖や使用者の節水等に起因して年々減少し、類似団体より低い状況にあることから、給水人口に対して施設規模が大きいと言えます。今後も給水人口の増加は見込めないことから、適切な施設利用について見直す必要があります。「有収率」は、全国平均、類似団体平均より低く、今後も漏水対策を進めていく必要があります。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は、51.86%と類似団体より高い状況にありますが、これはH12年度に浄水場内中央監視室を整備したことによるものです。「管路経年化率」は、21.96%と全国平均、類似団体平均と比較して高く、法定耐用年数を超過した老朽管を多く保有していることを示しています。このことを踏まえ、現在、年次的に管路更新工事を進めており、「管路更新率」は0.83%と類似団体平均を上回っています。しかしながら、厳しい財政状況の中で更新工事を進めていくには限界があり、新たな財源の確保と更新計画の見直しが必要です。
全体総括
人口減少や節水意識の高揚により、近年、給水収益は減少の一途を辿っています。一方、老朽化による管路及び浄水施設の更新と耐震化については、喫緊の課題となっており、これまで以上に進捗率を上げて取り組む必要があります。今後は、経営戦略や新水道ビジョンを基に、健全な経営を維持できるよう、適正な規模で企業債を利用しながら、財源の確保と施設更新等を進める必要があります。