経営の健全性・効率性について
水源地の地下水が飲料水に適しているため、浄水設備に経費がかからず、塩素滅菌のみの処理で充分対応できているため、⑥の給水原価は低く抑えられている。しかし供給単価も抑えてきたため⑤の料金回収率(供給単価÷給水原価)が類似団体よりも低く、その結果①の経常収支比率も類似団体より低い数値となっている。また④の企業債残高対給水収益比率については、過去の「水道拡張時代」において建設改良費の財源の多くを企業債に依存してきたことから、類似団体の2倍を超える数値を示していて、将来に大きな負債を抱えているといえる。企業債残高は、給水収益の2倍程度に抑えるのが理想とされているが、本市の場合は、給水収益に対して企業債残高比率は6~7倍にもなり、非常に深刻な問題である。また⑧の有収率(配水量に対して、有益に使用される量の割合)は、漏水が多いと有収率が低い数値になるが、本市は類似団体より低い数値になっている。これも、漏水が起きている老朽管の布設替工事等が実施できていないことを表している。有収率を高めるためには、これらの工事が実施できるように、資金面での早急な経営改善が求められている。
老朽化の状況について
②の管路経年化率は類似団体と比べても非常に高い数値を示し、さらに③の管路更新化率においては、類似団体の半分以下の数値となっている。これは経営状況の悪化により、老朽管の布設替工事がほとんど進んでいないことを表しており、その財源にまわせる資金がないことを意味している。今後は料金改定に基づき、管路更新投資を計画的に進めていけるよう取り組んでいかなければならない。
全体総括
経常収支比率も良くないが、特に企業債残高対給水収益比率や有収率等で類似団体より悪い数値となっている。また老朽化の状況では、老朽管の管路更新がほとんどできていない状況を表している。こうした状況を踏まえ、今年度(平成28年度)に料金改定審議会を開催し、12月議会で料金改定の議決を得たので、平成29年4月から新料金を適用して運営していく予定である。改定率は全体の収益で23%程度の上昇率となり、市民の皆様には大きなご負担をかけることになるが、全国的に問題となっている「水道の危機時代」をご理解していただけるように広報等でも手法を凝らし、周知徹底に努めていく予定である。