経営の健全性・効率性について
グラフ①の経常収支比率から、経常収支が黒字を保っていること、グラフ④の企業債残高対給水収益比率から、企業債等の借入金残高がほとんどないこと、グラフ⑤の料金回収率が高いことなどから、現状では当市の経営状況は類似団体と比較して健全性が高いと言えます。しかし、経常収支比率の高い大きな要因は26年度の会計制度の見直しによる現金収入を伴わない長期前受金戻入益によるもので、この長期前受金戻入益を除くと、黒字は少額と言えます。また、今後は老朽管更新費用の増加が見込まれるため、その財源として企業債の借入も必要と考えますのでグラフ③の流動比率は減少し、グラフ④の企業債残高対給水収益比率は増加していくものと予想されます。今後の経営状況については、グラフ⑦の施設利用率が示すように、給水人口の減少や専用水道保有企業の増加、市民の節水意識の向上などにより、今後も施設利用率の低下が続き、配水量の減少に比例して料金収入が減少すると見込まれる中、老朽管の更新のため現金預金が減少し、企業債償還金が増加するなど経営状況は悪化していくものと予想されます。
老朽化の状況について
グラフ①の有形固定資産減価償却率や、グラフ②の管路経年化率が高い数値を示しており、類似団体よりも施設等の老朽化が進んでいると言えます。浄水場については、北郡山浄水場、昭和浄水場とも老朽化が激しいため、改修するにあたり高額な費用が必要となりますので、施設規模の適正化や施設の統廃合も検討し、更新費用の圧縮を図る必要があります。また、管路については、40年以上経過した管路が25%、30年から40年経過した管路が24%あり、グラフ③の管路更新率は類似団体よりも高いものの平均年間1.3%程度のため、さらなる老朽化が進むと予想されますので、老朽化率を抑えるため、管路更新率を高める必要があります。
全体総括
現在の経営状況は比較的良好ですが、今後、配水量の減少による料金収入の減少や施設の老朽化が進行すると予想される中、老朽化対策費用を確保して計画的に施設整備を進めていく必要があります。具体的には、27年度より行っている水道事業ビジョン及び施設整備計画が28年度にまとまりますので、この整備計画の結果を踏まえ、29年度より計画的に老朽管の更新を実施していく予定です。そのため、更新費用の財源として企業債の借入も今後は必要と考えます。また、現在、検針・料金徴収・開閉栓・窓口業務等の包括委託、浄水場の施設運転・維持管理の業務委託、自己水より割高な受水費を配水量の約50%に抑えることなどにより経営の効率化を図っていますが、配水量の減少により施設利用率が年々低下していますので、浄水場施設能力の見直しを行い、ダウンサイジングも検討していきたいと考えます。