経営の健全性・効率性について
《健全性》経常費用が経常収益でどの程度賄えているかを示す経常収支比率(①)は、100%以上を確保しています。営業収益に対して累積欠損金の状況を示す累積欠損金比率(②)は、累積欠損金が発生していないため、0%となっています。短期的な支払能力を示す流動比率(③)については、十分な流動資産を有していることから、支払能力は確保されている状況となっています。企業債が経営に与える影響を示す企業債残高対給水収益比率(④)については、基金の活用により企業債による借入れを抑えてきたため、比率は非常に低い状況にあります。《効率性》水道を供給する費用がどの程度水道料金で賄えているかを表す料金回収率(⑤)については、前年度からは5.07%改善しましたが、依然100%を切っており、水道料金だけでは水道を供給する費用を賄い切れていない状況になっています。また、水道1㎥あたりの給水原価(⑥)は、前年度から9.53円減少し、本年度は全国平均や類似団体平均を下回ることとなりました。施設の配水能力に対する実際の配水量との割合を示す施設利用率(⑦)は、平成27年度に大口利用者が地下水から上水に転換され、1日平均配水量が増加したことなどにより、前年度から2.65%増加し、より効率的な運用が行えています。給水水量全体のうち、給水収益につながっている水量の割合を示す有収率(⑧)は前年度から微減したものの、全国平均や類似団体平均を超えており、効率的な運用が行えています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率(①)は類似団体平均と同程度となっています。管路の老朽化度合いを示す管路経年化率(②)は、比較的新しい管路が多いため、全国平均や類似団体平均よりも低くなっています。管路の更新ペースを示す管路の更新率(③)は、年度によってばらつきがありますが、平成27年度は類似団体平均よりもわずかながら上回っています。
全体総括
経営の健全性については、自己資本構成比率も90%以上と高く、健全な財務状況にあります。経営の効率性については、料金回収率が80%台と低く、水道料金収入では必要な経費をまかなえず、分担金を原資とする基金の取崩しで対応している状況です。この基金も近年は取崩し額が積立額よりも多く、いずれ枯渇することが見込まれています。そのため、維持管理費のさらなる削減などの経営改善を図ることが重要な課題となっています。また、今後は施設や管路の老朽化が進んできますが、長寿命化・延命化をめざした更新周期にしたがって優先順位を定めた計画に基づき、内部留保資金(施設や管路を更新するための資金)を一定保ちながら更新を行っていきます。