経営の健全性・効率性について
①平成26年度は100%を下回っているが、これは給水収益が隔月検針を開始したことで1ヵ月分繰延となり、11ヵ月分の計上となったことによるものである。平成27年度は例年通り12ヵ月分の計上となったこともあり、100%を上回る黒字経営となっている。②累積欠損金は現在のところ発生していない。③毎年度100%を上回っており、支払能力は十分に備わっているといえる。平成26年度は大幅に減少しているが、これは会計基準の見直しにより1年以内に償還する企業債を流動負債に計上することとなったことによるものである。④類似団体の平均値を上回っており、債務残高は大きいといえる。これは簡易水道統合や大規模な更新事業により、企業債残高が増えたことによるものである。適切な投資規模の更新事業等を継続するとともに、給水収益の確保により改善に努めたい。⑤平成25年度の簡易水道統合や平成26年度の隔月検針開始などの影響により低下傾向にあったが、平成27年度は給水収益が例年通り12ヵ月分の計上となったことなどにより改善している。しかし、類似団体の平均値を下回っているため、費用の節減や給水収益の確保により改善に努めたい。⑥平成26年度は隔月検針を開始したことで有収水量が給水収益と同様に11ヵ月分の計上となったことにより、類似団体の平均値を上回ったが、平成27年度は例年通り12ヵ月分の計上となり、類似団体の平均値を下回っている。⑦施設の統廃合を進めてきた結果、毎年度類似団体の平均値を上回っており、施設の効率性は良いといえる。⑧平成26年度に大幅に減少しているが、これは有収水量が隔月検針の開始により11ヵ月分の計上となったことによるものである。平成27年度は例年通り12ヵ月分の計上となっているため改善しているが、平成25年度と比較すると減少しており、また類似団体の平均値を下回っている。これは、管路の経年化により漏水が増加していることが要因と考えられる。そのため、漏水やメーター不感等への対策が必要である。以上のことから、平成26年度の隔月検針開始等の特殊事情が解消されたため、平成27年度で改善されている項目もあるが、人口減少や費用の増加により経営状況は厳しくなっており、改善が必要である。
老朽化の状況について
①計画的な施設の更新を進めてきた結果、類似団体の平均値を下回っている。今後は緊急性を考慮しながら施設の更新等を行っていく必要がある。②昭和43年度からの拡張事業により整備された管きょが、平成24年度より一斉に耐用年数を経過したため急激に数値が上昇した。今後も上昇すると考えられ、計画的な更新が求められる。③平成24年度以降経年管が増加し更新が急がれるが、平成25年度からは基幹施設の更新を優先させたため、更新率は類似団体の平均値を下回っている。以上のことから、今後は基幹管路を中心とした計画的な更新が必要である。
全体総括
当市水道事業の経営については、現在のところ累積欠損金はなく、流動比率についても100%を超えている状態ではあるが、類似団体と比較すると債務残高は大きく有収率は低い。今後人口減少に伴う給水収益の減少や、施設の老朽化に伴う維持費の増加が予想されるため、有収率の改善による給水収益の確保や費用の節減に努めなければならない。老朽化については、施設全体では類似団体と比較すると進んでいない状況ではあるが、管路経年化率は増加傾向にあり類似団体の平均値を上回っている。また、管路更新率については類似団体の平均値を下回っているため、今後は基幹管路を中心とした更新が必要である。以上のことを踏まえ、施設を健全に維持し経営を改善するため、平成29年7月使用分から料金改定を行うこととした。