経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び⑤料金回収率について、100%以上を維持し、類似団体平均及び全国平均(以下、同平均という)を上回っていることから、現時点では本業である給水収益で維持管理を賄うことが可能となっており、概ね良好な経営状態といえます。しかしながら、管路経年化率は同平均を上回り、かつ管路更新率は同平均を下回っていることから修繕費等の維持管理費が経常収支を圧迫してくると想定されるため、消費税率変更を除き平成13年度以降改定されていない水道料金について、適正な料金体系となるよう見直しを行うことも検討していかねばならない時期になってきています。④企業債残高対給水収益比率について、同平均と比較してかなり低い水準となっていますが、今後老朽管の更新及び施設の耐震化に係る投資規模を拡大する必要があることから、継続的な起債活用により投資資金の確保を図っていく予定です。⑥給水原価について、同平均よりも低い水準を維持できていますので、今後においても更なる投資効率化及び維持管理費の削減に取り組んでいきます。⑦施設利用率について、同平均よりも低い水準となっているため、今後予定している老朽管の更新及び施設の耐震化に併せて、施設の統廃合及びダウンサイジングについても検討を継続していきます。⑧有収率について、同平均と比較して高い数値を維持できています。今後も老朽管の更新作業と並行して給水区域内の漏水調査委託等を継続し、有収率向上に取り組んでいきます。
老朽化の状況について
②管路経年化率は24.09%であり、類似団体平均の2倍を超える水準となっています。これは、耐用年数を経過し老朽化した送水管及び配水管等を多く保有していることに他なりません。また、③管路更新率は0.32%であり、類似団体平均の1/2以下の水準であるうえ、更新率は年々減少傾向にあります。これは管路更新の進捗としては危機的状況にあるといえます。そのため、現在、本市の基幹管路である西部送水管の更新及び耐震化事業を平成23年度から平成33年度までを事業期間として実施しているところでありますが、その他の管路及び施設等についても更新及び耐震化を早急かつ着実に進めていくことが求められています。
全体総括
給水収益は近年において横ばいから微増傾向が見られますが、中長期的視点では減少傾向が想定される状況下で、管路更新率を上昇させるために投資資金の確保及び工事執行体制の充実を図ることが喫緊の課題となっています。投資資金の確保については、企業債による借り入れと一層の経費削減を継続していきますが、近い将来において水道料金の適正水準への見直しも視野にいれた事業運営が不可欠です。工事執行の充実についてはライフラインとして水道水を安定供給できるような施設整備に欠かせない必要十分な人員の確保が急務となっています。また、技術の継承という点では、技術職のみならず事務職においても、再任用職員の活用、各種技能・技術研修への積極的な参加により経験の蓄積及び技量の向上を図るなどの対策を講じていきます。さらにはプロパー職員の登用や水道事業への復帰を前提とした配置転換等も今後検討すべき課題だと考えます。