経営の健全性・効率性について
①は、節水機器の普及等に伴い、有収水量が減少傾向にあることなどから、収益的収支は、25年度まで5年連続で赤字であったが、26年度以降は会計制度改正に伴う長期前受金戻入等により黒字化した。②は、22年度に水道料金の値上げを行ったものの、有収水量が減少したこと、経過措置(本来の料金への引上を3年間で段階的に実施)を設けたことなどから25年度まで赤字が続いた。こうした中、繰越利益剰余金により累積欠損金比率は22年度はゼロ、23年度は低く抑えられたが、24年度は繰越利益剰余金がなかったことから比率が高くなった。25年度は経過措置が終了したことから、24年度より比率は低くなり、26年度以降は①同様に会計制度改正に伴い黒字化し、ゼロとなった。③は、26年度以降、会計制度改正により、企業債の会計上の取扱変更(資本→負債)に伴って比率が下がったが、十分な支払能力を保持している。④は、22~25年度は企業債の新規借入がなかったため徐々に比率が下がり、26年度以降は新規借入再開により比率はほぼ横ばいで推移している。⑤は、26年度の会計制度改正により、長期前受金戻入を経常費用から差し引けるようになったため、26年度以降は高い数値を示している。⑥、⑦は、いずれも類似団体と比較し高い水準にある。⑧は、管の漏水頻度を考慮し更新を進めてきたため、微増もしくは維持している。
老朽化の状況について
①は、類似団体と同様、償却率は徐々に高まっている。②は、類似団体等と比べると低く、比較的老朽化は進んでいない状況である。また、26年度以前の老朽管更新は、管の漏水頻度を考慮し進めてきたが、27年度からは老朽管更新(耐震化)第2次計画(25年度策定)に基づき、基幹管路の耐震化を計画的に進めることとしたことから更新延長が伸び、低くなった。③は、26年度以前は水源ポンプ場等の基幹施設の耐震化を優先的に進めてきたため、類似団体と比べると管路更新率は低かった。27年度からは、老朽管更新(耐震化)第2次計画に基づき基幹管路の耐震化を実施したため、高くなった。
全体総括
経営の健全性・効率性、老朽化の状況は、ともに比較的良好な状態である。しかし、今後も良好な状態を保持するため、決算状況等からの分析に基づいた経営課題への取組を進めるとともに、有識者や使用者の代表などで構成する水道料金等懇話会を定期的(3~5年程度)に設置し、幅広く経営改善について検討を行い、本市の水道事業を安定的かつ持続的に経営できるよう、引き続き努めていく必要がある。