経営の健全性・効率性について
①経常収支比率平成26年度より4%程低下している。水源転換を目的に実施した施設拡張事業の実施による減価償却費の増加と浄水施設の除却により資産減耗費が増加したことが原因である。ただし経常収支比率は100%以上であればよいとされ、さらに類似団体平均数値も上回っているので経常的な収益能力は問題がないと判断できる。⑤料金回収率⑥給水原価平成26年度と比べ料金回収率は減少、給水原価は増額となっている。これは前述の減価償却費と資産減耗費との増加によるものが大きい。このうち資産減耗費は毎期経常的に発生するような費用ではなく、やや偶発性を有する性格を持つ。そのため仮に資産減耗費が平成26年度水準であれば料金回収率は類似団体平均値よりも優れた数値になり、給水原価は類似団体平均値とほぼ同水準となるため、料金設定の適切性や費用の効率性に関して問題はない。⑦施設利用率平成27年度に浄水施設の除却を行い、配水能力を見直したため、当年度の施設利用率は13%程改善されている。類似団体平均値に対しても上回っているため、施設の効率性は問題ない。⑧有収率類似団体平均値を下回っていおり、今後継続的な漏水調査及び老朽管の布設替工事を行っていくこととしている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平均値同様増加傾向にある。昭和50年頃整備された施設がすでに40年近く経過しており、今後、高い更新需要が見込まれる。②管路経年化率は平均値と比べて低い値だが、全管路のうち33.6%を占めるVP管は法定耐用年数を迎える前に破損しており、有収率が低い原因にもなっていると考えられる。③管路更新率について、平成25年度は水源転換事業の実施により高い値となっているが、平均では1%弱となっている。今後は、平成28年度に新たに策定した「安曇野市水道ビジョン」で管種別の更新基準を定め、これに基づき管路の更新を計画的に進めていく。
全体総括
現状では経営の健全性や効率性に関しては概ね問題はないが、今後給水人口や給水収益が減少していく見込みの中、更なる経費の削減が必要になる。加えて有収率や管路経年化率が示すように、管路を含む固定資産の老朽化が進んでおりこれら老朽化施設の更新及び施設の耐震化等の防災対策が不可欠となる。今後も事業資産を適切に管理するとともに人口減少時代を見据え、施設のダウンサイジング等も検討していくなど、経営の健全性を維持していきたい。