経営の健全性・効率性について
平成27年度決算においても累積欠損金は無く、経常収支比率、料金回収率ともに平成26年度以降改善しています。流動比率は前年度決算よりわずかに改善したものの、依然として平均より大幅に低い値で100%を割り込んでいます。公営企業会計制度改正により流動負債に1年未満で償還する企業債償還元金が分類されることによる影響に加え、急速に進む給水収益の減少と本格化する第7次整備事業費の増加による預金の減少などが主な原因です。今後は平成30年度に企業債償還元金がピークを迎えその後は減少に転じることや、今後水道事業費用の28%を占める受水費が平成29年度から10%値下げとなる事により収益が改善することに加え、一般会計から出資を受けることなどにより、流動比率は短期的に改善できるものと考えられます。第6次拡張事業以降の大規模投資の減少により、企業債残高対給水収益比率は減少していますが、類似団体平均に比べて多く、本格化する第7次整備事業に伴い投資額が増加しているため注意が必要です。下水道事業の整備が終了すると、管路の布設替に伴う補償金が無くなり、一層企業債への依存度が高まることから、残高の適正な管理とともに、適切な水道料金の見直しが必要です。効率性の面では、有収率の改善が最重要課題となります。平成29年度以降漏水判定機を検針時に用いる新たな手法を導入し改善に努めます。
老朽化の状況について
管路経年化率は類似団体平均に比べると低いため、管路更新率も同様に低くなっています。しかし有形固定資産減価償却率の値は類似団体平均とほぼ同水準に近づいていることから、耐用年数に近い資産の増加が伺えます。平成27年度に策定した水道事業アセットマネジメント(タイプ3C)の結果を基に、老朽化した施設・管路について計画的に更新を進める必要があります。
全体総括
近年近隣自治体と比較して、急速に給水収益が減少しています。毎年漏水調査を行っていますが有収率は依然として低く、有収率の向上が最重要課題となります。平成29年度から検針時に漏水判定機を用いた新たな漏水調査手法を導入し、5年間で市内全域の漏水調査を行い、有収率の向上に努めます。また配水系の見直しを進め、施設利用率の向上に努めます。収益的支出の28%を占める受水費が平成29年度から10%値下げになる事や、一般会計から総額1億円の出資を受けることなどにより、建設改良事業に必要な補てん財源も緩やかに増加する見込みです。しかし現在のまま企業債へ依存して事業を行うと企業債残高が今後増加に転じるため、有利な財源の確保とともに、適切な時期に料金改定を行う必要があります。