経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は100%を上回って推移しており黒字経営を現在は維持していますが、更新事業の本格化や施設の老朽化による費用の増加により今後減少傾向になっていくと見込まれます。「料金回収率」は90%台で推移し、100%を下回っています。これは、給水原価が供給単価を上回る、いわゆる逆ザヤの状態であり、現在の経営状況は料金収入以外の収入に依存している状況となっています。参考:旧会計基準給水原価(H26169.9円・H27172.4円)旧会計基準料金回収率(H2693.9%・H2792.4%)「流動比率」は、現在は高い状態を維持しており、当面は資金運用に支障をきたす状態にはないと考えられますが、管路更新事業が本格化すると急速に減少していくと考えられます。「企業債残高対給水収益比率」は、現在低い状態で推移しています。しかし、今後、基幹管路更新事業の本格化が予定されており、数年後には上昇傾向になると見込まれます。「施設利用率」は類似団体より低い数値で推移しています。将来的に水需要が減少していく見通しとなっており、適正規模の施設へのダウンサイジングの検討が必要となっています。「有収率」に関しては、近年、漏水調査を積極的に行い、漏水の早期発見と修繕を行うことで有収率の向上に努めています。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は増加傾向にあります。経年化資産の多くは法定耐用年数が短い電気設備、機械設備が占めています。「経年化管路率」についても年々増加傾向にあり、平成27年度で約1/4が法定耐用年数を超過している状況となっています。一方、「管路の更新率」は近年1%を下回る状況が続いています。これは、これまで災害時の給水活動の拠点となる配水池や管理棟の耐震化事業を最優先に対策を行ってきたためです。このため配水池、浄水施設、管路の更新度にバラつきが生じています。今後は水需要の減少を踏まえた施設規模、口径の適正化などで事業費の低減を図りつつ、着実に更新事業を進めていく必要があります。
全体総括
これらの状況を踏まえ、今後の水道施設の更新度合いを総体的に勘案すると、現在の料金体系、経営状況のままでは、更新費用の捻出も安易ではなく、水道施設の健全度は益々厳しくなることが想定されます。そのため、料金の見直しを早急に行い、水道ビジョン改定版の基本目標である、「強靭な水道」の実現として、平成30年度から始まる重要基幹管路の更新事業を計画的効率的に進め、「持続可能な事業経営」の実現のため、この更新事業を踏まえた上での経営安定化を図る必要があると考えています。