経営の健全性・効率性について
平成27年度の経営状況として、収入面では、大口需要者の休止や給水人口の減少等により有収水量及び給水収益が大きく減少した。更に、費用面では、平成26年度取得資産の償却が開始されたことによる減価償却費の増等により、営業費用が大きく増加した。これらの要因により、「①経常収支比率」及び「⑤料金回収率」において、前年度より値が低下し、「⑥給水原価」において、前年度より値が上昇した。「①経常収支比率」及び「⑤料金回収率」については、100%を上回ってはいるものの、類似団体との比較では低い水準となっている。今後も、有収水量及び給水収益の減少傾向は続くと推測されることから、施設の統廃合や施設規模の見直し等、施設維持管理費の削減に努める必要がある。「④企業債残高対給水収益比率」は、自己資金による企業債の繰上償還を実施したこと等により減少傾向である。しかし、給水収益の5倍の企業債残高があり、類似団体と比較しても高い状態であることから、今後も計画的に企業債を活用し、適正な事業運営に努めていく。効率性について、「⑦施設利用率」は41.1%と低調であり、類似団体と比較すると18%以上も低い状況である。施設利用率が低い要因は、観光地のため水需要の繁閑差が大きいこと等によるものであるが、今後、施設の統廃合や規模縮小等、適正な規模での運営に努める必要がある。また、「⑧有収率」は、増加傾向にあるものの、類似団体と比較すると6%以上も低い水準である。引き続き、管路の修繕等を実施し、効率的な施設運営に努めていく。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」について、増加傾向であり、類似団体も同程度に推移している。今後、計画的な施設の更新に努めていく必要がある。「②管路経年化率」について、増加傾向であり、類似団体と比較すると低い水準である。今後、計画的な施設の更新に努めていく必要がある。「③管路更新率」について、1%に満たず、類似団体と比較しても低い水準にある。今後、予防保全やアセットマネジメント等の取り組みに努めていく必要がある。
全体総括
今後も給水人口の減少、大口需要者の専用水道への切替等により有収水量及び給水収益の大幅な減少が続くと推測される。一方で、施設の老朽化等による施設の維持・更新費用の増加が懸念される。このような状況の中、施設の維持・更新費用を確保するためには、施設の統廃合やダウンサイジング等により、一層の維持管理費の削減に取り組むとともに、適正な水道料金により給水収益を確保する必要がある。