経営の健全性・効率性について
経常収支比率について、H27は133.61%であり、H26の128.74%と比べ4.87%向上した。その要因は、給水収益はH26の1,170,119千円からH27には1,166,357千円と3,762千円減少したものの、経常費用をH26の1,019,370千円から、H27には985,714千円と33,656千円削減したことによるものである。経営の健全性を維持するため、今後も継続して費用の削減に努める必要がある。流動比率についても、H26の631.65%から、H27は643.39%と11.74%向上しており、平均値の346.59%を大幅に上回る水準を維持している。企業債残高対給水収益比率について、平均値はH23から減少傾向が続いているが、本市では300%付近で推移している。当該指標は、料金水準と投資規模が影響する項目であるため、水道施設や管路の更新投資に対する世代間負担の公平化の観点から、一定水準を維持することが必要と考えられる。料金回収率及び給水原価、施設利用率については、平均値に比べ良好な数値を維持している。一方、有収率については、平均値を下回る状況が続いており、より一層の漏水防止対策が必要な状況である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、50%付近で推移しており、H27は47.62%である。当該指標については、平準化を考慮した更新を行えば45%前後で推移すると考えられることから、持続的な更新を行い現在の水準を維持していくことが重要と考えられる。管路経年化率については、H23に6.85%であったものが、H27に9.49%となり明らかな増加傾向を示している。これは、1970年代に整備された管路が更新時期を迎え、施設の老朽化が急速に進行していることを反映したものと思われる。一方、管路更新率については、年度によるばらつきがあるが、直近5年間は1%未満にとどまっており、老朽化の進行に更新が追い付いていない状況である。
全体総括
経常収支比率及び料金回収率については、いずれも100%を超え、平均値を上回る水準を維持しており、単年度の収支で見れば経営の健全性・効率性に問題はないと考えられる。一方、老朽化の状況について、管路経年化率が明らかな上昇傾向を示している一方、管路更新率が1%未満の低い水準にとどまっており、更新ペースが老朽化の進行に追いついていない状況である。管路の老朽化は、有収率の低下や水道水の安定供給に対するリスクに直結するものであるため、更新のスピードアップが必要である。