経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については,平成27年度において100%を超え,類似団体平均値に近づいてきている。これは,給水量の増加及び一般会計からの補助金が増加したことによるものである。今後は,近年の給水量の減少による水道料金の減収及び施設の更新に対応するため,平成28年度5月分から料金改定を実施していることにより,経常収支比率は増加していくと考えられる。⑤料金回収率は,全国平均値や類似団体平均値を下回っている。料金改定により,今後は上昇を見込んでいるが,料金回収率は給水量により左右されることから,給水量の動向を注視していく必要がある。⑥給水原価は,全国平均値および類似団体の平均値よりも高い金額となっている。要因としては受水費の占める割合が高いことが挙げられるが,今後も経常費用の削減につとめていく必要がある。⑦施設利用率は,一般家庭等の小口需要者が増加しているものの,節水意識の定着や大口需要者である企業,病院,事業所が工業用水及び地下水に切り替えたことにより,給水量が減少したことで,減少傾向にあった。平成27年度は平成26年度に比べ若干増加している。今後は,普及率の向上に努め,施設利用率を上げていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については,全国平均値や類似団体平均値に比べ低い状況である。これは,老朽化した配水場等の施設を更新して新しい資産の割合が大きいためであるが,上昇傾向が見られるため,保有資産が法定耐用年数に近づいてきていることが表れている。②管路経年化率は,全国平均値及び類似団体平均値に比べ,高い値を示している。この要因としては,東日本大震災以降復旧に主眼を置いているため管路新設工事を抑制していることが考えられるが,増加傾向で推移していることから,計画的な管路更新が必要となる。
全体総括
給水量の低下等による経営悪化により,経営の健全化を図るため,平成28年度5月分から料金改定(平均9.9%の値上げ)を実施した。しかし,一般会計からの繰り入れ及び高い水準の給水原価の解消には至らないため,今後も引き続き経常費用の削減へ向け努力していく必要がある。また,老朽化の状況については,管路経年化率が上昇傾向にあるため,更新を計画的に行っていく必要がある。これらを踏まえ,平成29年度には「神栖市水道ビジョン」を改定し本市水道事業の長期的な方向性と具体的施策を改めて示した上で,持続的で安定した水道事業経営に努めていく。