経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は若干悪化し、99.74%となっている。給水収益の伸び悩みに加え、平成26年度に大沢第二浄水場が供用開始したことにより減価償却費及び維持管理経費が増加したことが引き続き影響している。また、道路改良やほ場整備等に伴う配管布設替えによる資産減耗費や、上内町浄水場の取水設備撤去工事費等の臨時経費が大きいことも特徴的であった。②累積欠損金比率について、平成27年度は5,112千円の純損失であったが、繰越利益剰余金で補てんし、昨年度に引き続き累積欠損金は発生していない。③流動比率は242.25%となっている。短期的な支払能力(資金繰り)に問題はない。④企業債残高対給水収益比率は、823.07%であり、類似団体と比較して企業債に依存した投資となっている。昨年度より若干改善しているが、内部留保資金を一定の水準で維持し、企業債残高の適正管理をしながら計画的な投資を実施する必要がある。⑤料金回収率は92.56%とさらに悪化した。供給単価は料金改定により昨年度の209.84円から212.39円に向上したが、給水原価は217.76円から229.46円とそれを上回った。これは上記撤去工事費や資産減耗費が影響している。現状ではこれ以上給水収益が伸びないことを考えれば、将来的に料金改定を行わなければならない。⑥給水原価は229.46円であり、類似団体と比較して高い状況にある。維持管理経費の削減に努めることは当然であるが、施設の統廃合等によりコストダウンを図り、給水原価の圧縮を行っていかなければならない。⑦⑧施設利用率は類似団体と比較して良い数字で適正な施設規模と言えるが、有収率は76.76%で給水量が直接収益につながっていない状態である。漏水調査に基いた計画的な管路更新の実施による有収率向上が喫緊の課題である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は36.67%となっており、全国や類似団体平均と比較すると若干良い数値となっている。投資の効率化・平準化を図るため、アセットマネジメントや施設統廃合等の計画に基づき、施設の更新を実施していく必要がある。②管路経年化率は6.40%であり、全国や類似団体平均と比較すると若干良い数値となっているが、10年後には15%以上と加速度的に増える状況にある。そのため、管路評価基準及び更新計画に則り、更新重要度の評価が高い管路から順次更新事業を実施していく必要がある。③管路更新率は0.43%であり、全国や類似団体平均を下回る状態となった。このままだと全延長の更新には200年以上かかる計算となるため、満足できる更新率(投資額)ではない。また、今後経年管が急速的に増えていくことから、計画的な投資額の確保と更新事業増進が必要である。
全体総括
経常収支比率が99.74%と100%を割り込み、悪化している。また、料金回収率についても92.56%で2年連続で100%を下回っている状況である。この回収率の悪化は大沢第二浄水場の供用開始による減価償却等の費用の増加が大きく影響しているが、27年度は臨時経費が増嵩したことも総合しての結果であると考える。ただ、それを除いても費用に関しては固定経費が大部分を占めていることから、料金改定の検討を進めている。また、投資については、既存施設の統廃合やダウンサイジングを実施しながら、どのような形で資金を確保していくのかを検討しなければならない。