経営の健全性・効率性について
平成23年度から平成27年度において、経常収支比率が100%を超えていること及び累積欠損金比率も0%であることから経営状況は良好であると考える。流動比率は各年度ともに100%を超えているものの平成27年度では平成26年度と比較して46.45ポイントの減少となった。類似団体平均値は上回っているものの若干支払余力が減少したと言える。企業債残高対給水収益化率は類似団体平均値と比較すると概ね28.41~44.72ポイント本市が上回っているが、その差は小さくなってきている。適切な投資規模を常に念頭に置きながら経営を行う必要がある。料金回収率は、平成26年度に100%超となったが平成27年度ではさらに5.64ポイントの上昇となった。今後増加が予想される老朽管路の更新費用を的確に見積もり、経営の健全化を目指す。給水原価は依然として類似団体平均値と比較して高い傾向であり、供給単価<給水原価となっていることからも経常費用の削減等を講じる必要が引き続きあると考える。施設利用率は平成24年度までは類似団体平均値を上回っているものの、平成25年度からは一転して下回っている状況である。合理的な水源計画の策定と浄水能力の適正化・施設の改廃、統合も考慮する必要があると考える。有収率は93%を超える数値であり類似団体平均値と比較しても良好である。水源の有効活用や省エネルギーに向け、漏水防止に努め、更なる有収率向上に努める。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体平均値と比較して低い傾向である。また、管路経年化率も同様の傾向であることから、類似団体より管路の老朽化の進度は比較的遅いと考えられる。一方、管路更新率は、やや、類似団体平均値を下回る年度が多く見受けられることから、今後、老朽化施設の適正な更新を実施し、効率的な事業運営が必要であると考える。
全体総括
概ね経営の健全化は保持されていると考えるが、管路等の老朽化に対する施設の更新費用の増大等近い将来全国的に見込まれる課題に加え、本市においては、近年、新設ダムによる受水費の増大化が生じている。平成26年度に策定した筑紫野市水道事業中長期整備計画に沿ってこれらの課題に対応していくこととしているが、今後とも所要の財政負担が見込まれることから、地方公営企業法に定める経営の基本原則に十分配慮し、計画的かつ効率的な事業経営に努める。