経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、類似団体は平成26年度の制度改正の影響を受け経常収支比率が増加しているが、本市は制度改正の増加分よりも新築の浄水場の減価償却費が上回るため、昨年度に引き続き、類似団体平均値を下回っている。②累積欠損金については、過年度から発生はなく健全経営を継続している。③流動比率については、624.14%であり、全国平均値・類似団体平均値と比較しても高い状況であり、短期的な債務に対する支払い能力は十分と言える。④企業債残高対給水収益比率については、全国平均値・類似団体平均値と比較して高く、新浄水場の整備に伴い自企業体の昨年度数値と比較しても高くなっている。⑤料金回収率については、100%を下回っており、給水にかかる費用を給水収益で賄えていない状況である。これは給水人口の減少と節水意識の高まりによる給水量の減少が影響しているものと考えられる。⑥給水原価については、平成26年度から類似団体平均値を上回っているが、これは新浄水場の減価償却が開始されたためである。⑦施設利用率については、昨年度と同程度で推移し、全国平均値・類似団体平均値と比べてやや低い。⑧有収率については、全国平均値・類似団体平均値より、一定程度高く、施設の稼働が十分に収益につながっていると言える。
老朽化の状況について
②管路経年化率に関しては、平成27年度の時点で40年以上前に布設した管路延長のデータが平成26年度当時よりも明確になったため、40年経年管の延長が増加した。そのため、経年化率が前年度と比較すると上昇している。また、40年ほど前に、本市において上水道を普及する目的で布設工事を進めていたという時代背景もあるため、他団体と比較しても平成27年度の経年化率が高くなっている。③管路更新率に関しては、数値上では前年度と比較すると減少しているが、平成27年度は前年度と管路更新延長にはさほど差がないにもかかわらず、本市が施工した新設工事が多かったことと、大規模開発による水道管の新設工事が多く、管路総延長が大幅に延びたことが要因となり更新率が減少した。管路更新率は新規大規模開発等がある年度は管路延長が大幅に延びるため低くなる傾向にある。したがって、本指標だけでは更新状況を判断できるものではないと考える。
全体総括
経営の健全性・効率性については、累積欠損金がなく、流動比率が高いため、現時点では健全な経営状況といえる。しかし、今後人口の減少等による給水量の低下で経常収支比率、料金回収率の低下や給水原価の増加が予想される。またポンプ場の改良工事や企業債の償還による資金の減少により、流動比率の低下が見込まれるため、運転資金の調達方法を検討する必要がある。また老朽化の状況については、管路経年化率が全国平均値及び類似団体値よりも割合が高く、経年管の更新に遅れが出ていることがわかるが、計画的な経年管の更新を考えてはいるものの、予算面及び人員的な問題等厳しい状況である。今後資金の減少が予測される中で、管路経年化率を維持、減少させていくための資金の調達を料金値上げ等で検討する必要がある。上記の取り組みの一環として、平成30年度までに経営戦略の策定を予定している。