経営の健全性・効率性について
経常収支比率は全国平均や類似団体平均をやや上回っている。今後は給水収益の底打ちが見込まれるため、比率は現状を維持できると見込んでいる。なお、比率が変動しているのは開発に伴い一時的に水道の新規給水申込者から徴収する水道施設の拡張・整備などに必要となる費用にかかる収入(納付金収入)の増減によるものである。流動比率は平成25年度までは類似団体平均より低かったが、平成26年度以降類似団体平均にほぼ等しくなっている。なお、比率は300パーセントを超えており、運転資金は確保できている。企業債残高対給水収益比率は全国平均や類似団体平均より低いが、これは企業債を借り入れての更新工事が少ない事によるものである。主に手持ちの資金により更新工事を行っているため、後述の様に管路の経年化が進んでしまっている状況である。料金回収率は全国平均や類似団体平均を上回っている。従量料金制で逓増率が高く、また大口需要家の水量割合が高いために供給単価を押し上げている事が要因である。給水原価は全国平均や類似団体平均を上回っている。これは水源の70%が受水に頼っている事、残り30%は自己水であるが深井戸からの取水のため施設の維持に費用がかかる事、平坦な地形のため配水に係る動力費が高い事等、全般的に費用がかかっている事によるものである。これは府内市町村との比較により明らかとなった。施設利用率は全国平均や類似団体平均を下回っている。これは配水能力が拡張事業を行っていた時代に設定されたものであり、その配水能力のまま、節水等により需要家の使用水量が減少してしまった事に起因する。有収率は全国平均や類似団体平均を上回っている。これは漏水等の無効水量の割合が少ない事によるものである。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、管路経年化率とも全国平均や類似団体平均を上回っている。これは区画整理事業等により急激に管路整備を行った事から、老朽化も急激に進んだ事に加え、経営への影響を考慮し、更新工事に係る費用の平準化を図っているため、更新工事が老朽化のスピードに追いついていないものである。管路更新率は全国平均や類似団体平均を下回っている。これは上記の更新工事費用の平準化が影響していることによる。また、平成27年度に更新率が大きく落ち込んでいるのは、当該年度より送水所出口付近の基幹管路の工事を行っており、管径が大きく管路延長に対する工事費が高いため、更新延長としては少なくなってしまっている事による。しかし、送水所出口付近は漏水事故等が発生した際、断水等の被害範囲が大きくなってしまうため、管路の重要性を重視して工事を行っているものである。
全体総括
現状は累積欠損金もなく、経営に必要な費用を料金で賄えており、経営の健全性が保たれている。しかし今後は施設の老朽化・地震等の災害対策のために更新工事の着実な推進を図る必要がある事から、経営状況は厳しさを増すと予想している。このような状況から水道サービスの安定的な提供のため、中長期的な視点に立った経営を行うとともに、一層の効率化、経営健全化に取り組む必要がある。そのため経営戦略の策定を目指し、準備を進めていく。