経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、類似団体及び全国平均値を上回っており、比較的良好な経営状況と考えています。②累積欠損金比率は、平成23年度に18%を超え、類似団体及び全国平均値を大きく上回っていました。これは配水場更新整備事業費が多額となったためですが、平成24年度に実施させていただいた料金改定による収益の増や平成26年度からの会計基準変更に伴う利益剰余金の計上により、平成26年度から累積欠損金は解消されています。④企業債残高対給水収益比率については、人口減等による給水収益の減少はあるものの、起債発行額を償還額以内に抑制することで、減少傾向にあります。⑥給水原価について、対象費用の内、人件費は減少傾向であるものの、配水場更新整備事業による減価償却費の増により平成25年度まで増加傾向にありました。しかし、平成26年度からの会計基準変更に伴い長期前受金戻入額を費用から控除することとなったため、減少しております。⑦施設利用率は一般的に高い数値が望ましいと言われています。本市では、類似団体及び全国平均値より低い数値となっています。これらは、人口減少に伴う配水量の低下によるものですが、施設更新時には規模の再検討が必要であると考えています。⑧有収率については、類似団体よりも高い数値を維持しているものの、過去5年間においては微減傾向にあります。これは、人口減少による有収水量の減が影響しています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、平均値より低いものの上昇傾向となっており、また②管路経年化率について、本市では20%を超過し、他の類似団体と比べ高い数値となっています。これは、管路の老朽化が他団体と比べて進行している状況で、管路の更新が必要であると考えています。③管路更新率は当該年度に更新した管路延長の割合を示す指標で、本市の整備計画では、口径150㎜以上の配水管を対象に計画的に更新しておりますが、平成27年度においては新設工事が多かったために、例年と比べ低い数値となっています。
全体総括
本市の経営状況については、平成24年度に料金改定を実施させていただいたこともあり、概ね良好であるといえます。しかしながら、他団体と同様、人口の減少や節水意識の向上により、料金収益は年々減少しており、今後もこの傾向は続くものと考えています。さらに、高度経済成長期に布設した配水管の更新や、配水池の建替え等、将来的に建設改良費の増加が見込まれます。このように経営環境がますます厳しくなっていく中で、市民の皆様に安全で安定した水の供給を持続していくためには、計画的な企業経営が求められています。本市おいては、これまで整備計画に沿って事業を実施してきたところですが、今後においも、既存のアセットマネジメントを基に総務省の要請である「経営戦略」を策定し、より一層投資の最適化と平準化を図るとともに、当該投資額に必要な財源を計画的かつ適切に確保することが重要であると考えています。