経営の健全性・効率性について
①【経常収支比率】→H16年度の料金改定の効果が続いている状況である。またそれに加え、H26年度以降は新会計制度への移行による営業外収益の長期前受金戻入等や支払利息の減少により経常利益が計上されている。②【累積欠損金】→発生はしていないが、給水収益は給水人口の減少、有収水量の減少に伴い減少傾向となっている。③【流動比率】→H16年度の料金改定の目的の一つが資金確保であり予定どおり資金を確保してきている。しかし、比率において類似団体を下回っているため、施設の統廃合や老朽化施設の更新等の資金確保が今後の課題である。④【企業債残高対給水収益比率】→給水収益の5年分が企業債残高となっている傾向は変わらないが、給水収益が減少傾向にあるため、今後の建設改良の財源として企業債依存度が高くなることが予想されることから対策の検討をしている。⑤【料金回収率】→これまでは順調に推移してきた料金回収率であるが、今後は給水原価が上がり供給単価が下がる傾向になると予測されるため、料金改定についての検討時期に来ていると認識している。⑥【給水原価】→給水原価中資本費が57%人件費と委託料が26%と固定費が占める割合が高く水道事業経営は硬直化している。企業債の低利借換等により資本費の減少を図ってきたが、今後は資産の縮小化等の原価の引き下げが必要である。⑦【施設利用率】→施設の統廃合等による効率的な施設活用が必要となってきている。⑧【有収率】→前年より1.49ポイント向上しているものの、広範囲にわたる給水区域や給水ブロック、使用口径の大部分が小口径であることなどの理由から、全国、類似共に下回る84.54%で低い状態である。平成28年度からは配水施設の維持管理と漏水調査業務を包括して委託し、今後給水ブロック化を推進するとともに、有収率の向上を図ることとしている。
老朽化の状況について
①【有形固定資産減価償却率】→昭和54年から供用を開始している主要施設・管路が設置後約40年を経過していることから43.99%と高い水準となっている。今後これらの施設の更新をどのように行うのかが大きな課題であると認識している。②【管路経年化率】→全国平均、類似団体平均の約3倍の値となる29.48%となっている。老朽管の更新(特に石綿セメント管)を積極的に進めてきたが、①に述べたように基幹管路の経年化が進んでいるため、今後はこれらの更新を進めていく必要があると認識している。③【管路更新率】→震災前までは管路の更新を重点的に推進していたが、震災後は優先的に復旧復興事業に取り組んだため管路の更新については停滞状況にある。現在、平成27年度から3年をかけて、施設更新計画策定委員会を組織し更新計画をはじめ財政計画、耐震化計画等を取りまとめることとしている。なお平成27年度値に関しては、対象となる種別管路を変更して集計しているため前年度に比べ高い数値となっている。
全体総括
平成26年度に登米市地域水道ビジョンを改訂し、実施計画として需要予測や財政計画を策定しているが、給水人口の減少、節水器具の普及、大口需要者の使用水量の減少等により料金収入は減少傾向である。また支出については資本費(減価償却費、企業債利息)が半分を占めていることに加え、今後老朽施設の更新事業が控えていることなどから費用は増加する傾向となっている。その厳しい環境に対応するため、平成27年度に施設更新計画策定委員会を設置した。委員会では市民皆さんに安全安心な水道水をいつまでも供給できるよう、アセットマネジメントの手法を用い、今後の需要予測をもとに施設の統廃合・再配置などを検討し、登米市水道事業全体の施設更新について計画を平成29年度に策定することとしている。また、その計画をもとに水道料金についても検討を重ね、総合的な長期計画を今後検討・策定する予定である。