経営の健全性・効率性について
経常収支比率は116.79%で、収支が黒字であることを示す100%以上となっています。当市では、これまでの水道施設整備に多額の費用を要してきたことから、企業債残高給水収益比率や給水原価が類似団体及び全国平均と比較して高い水準で推移しています。一方、給水にかかる費用がどの程度給水収益で賄えているかを示す料金回収率は106.14%で、100%以上となっていることから概ね給水収益で賄えている状況です。さらに、1年以内に支払う債務に対して現金の保有状況を示す指標である流動比率は220.36%で、100%以上となっていることから概ね健全な経営状況にあるといえます。施設の効率性についてみると、施設利用率は55.07%となっており、類似団体や全国平均と比べ著しく低いという状況ではないものの、人口減少に伴う水需要の減少により年々低下傾向にあるところです。また、有収率は82.07%であり昨年度と比較して1.63ポイント向上しました。しかし、全国平均及び類似団体と比べてまだ低い数値となっており、今後も計画的に漏水調査や老朽管更新を行っていく必要があります。
老朽化の状況について
水道施設の老朽度具合を示す有形固定資産減価償却率は44.45%で、類似団体及び全国平均とほぼ同レベルにあります。しかし、水道管の老朽度具合を示す管路経年化比率は17.51%で、類似団体及び全国平均と比べて高い数値となっています。管路更新率は類似団体及び全国平均と比べて高い数値を確保していますが、老朽化を原因とした漏水等を防止するために今後も計画的に更新を進めていく必要があります。
全体総括
経常収支は黒字で推移しており、概ね健全な経営状態を確保しています。本市では、水道事業全体を今後も安定的に経営していくため、平成29年4月から簡易水道事業を水道事業に統合し、一つの水道事業として経営を行っていくとともに、これまで地域ごとに異なっていた水道料金についても平成29年4月から統一します。今後は人口減少に伴う使用水量の減少により給水収益の減少が予測されることから、更なる維持管理費の縮減を進めていくとともに、適正な料金水準の設定により安定した給水収益の確保に努めていきます。また、施設整備にかかる企業債の発行を抑制するため、国庫補助制度の有効活用により財源確保することに加え、業務委託等による事業運営の効率化や経費の節減に取り組んでいきます。水道施設の更新については、中長期的な視点に立ち、人口減少に伴う水需要の減少に対応したダウンサイジングや施設の統廃合等、効率性を意識しながら優先順位を定め計画的に進めていきます。