経営の健全性・効率性について
経常収支比率においては、経年100%以上(黒字)を維持しているところではあるが、料金回収率は、経年で100%を下回ることがあり、更なる費用削減と更新投資等に充てる留保資金の確保に努めなければならない。現状では、経費の削減等により経常収支が黒字となっている。将来的な財政負担に耐えうる収支構造を確立するために企業債の新規借り入れを抑制しながら管路更新等の事業を進めてきた結果、流動比率が低下したが、中期的にリバランスを図ることにより、適正数値に戻るものと考えている。有収率が類似団体と比較して低い点については、過疎化が進む地域性の問題点もあり、一概に数値の向上を図ることを良しとするものではないが、管路更新計画を年次計画的に進めていくことにより、向上につなげていきたい。施設の利用率については、類似団体と比較しても高い水準であり、適切な施設の規模であると分析しているが、給水原価は、類似団体と比較するとコスト高になっている傾向が伺える。
老朽化の状況について
管路更新率は、類似団体と比較した平均値より高い位置で推移している上、現在のところ管路経年化率についても類似団体よりも低い数値で推移しているところだが、今後、管路経年化率は確実に高くなることから計画的な更新を進め、現状の管路更新率を維持していくことが必要である。さらには、有形固定資産減価償却率が高く、施設の老朽化が進んできており、分析結果からも今後の施設更新計画を年次計画どおり進めていくことが求められていると判断している。
全体総括
当企業団は平成18年度の統合(3市1町)より10年が経過し、この間、用水供給事業から末端給水事業へと事業変更を図り、平成20年4月には3市1町の水道料金の統一を図ったところである。料金統一から8年が経過したが、給水人口及び給水収益は、年々減少が続いており、今後もその傾向が続くものと考えられる。統合前に整備した配水管も、布設後40年を経過するものが増えてくることと浄水場施設についても平成2年の竣工から26年が経過し、施設の耐震化に向けた改修が必要となることから「管路更新計画」に基づく配水管の整備及び「水道施設の更新計画」等を計画的に進めながら、アセットマネジメントによる長期的な資産管理及び財政収支均衡の視点に立った上で「経営戦略」を早期に策定することにより、今後の財政的課題をクリアにすることが必要となる。将来的に財政負担が過大とならないよう収支の均衡を図りながら、今後も「安全で安心な水を、安定して安価で提供する」を基本理念に健全な事業運営に取り組みたい。