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本市は一島一市で広大な面積を有しており、離島という地理的条件から近隣市町村との広域行政も行えず、行政需要が多岐にわたり、財政需要が大きくなっている。また、人口減少や高齢化率(令和3年4月1日現在41.9%)が高いことに加え、離島であるがゆえに産業基盤が弱く、税収などの自主財源の確保が難しいため、財政力指数は類似団体の中で一番低く、平均値も大きく下回っている。今後の持続的な財政運営に向け、公共施設や業務のあり方等の抜本的な見直しによる歳出削減に努めるとともに、経済振興、観光振興を通じた歳入確保に取り組むなど、財政基盤の強化を図る。
経常収支比率は94.6%となり、前年度から1.7ポイント増加し、類似団体平均値を上回った。増加となった主な要因としては、人件費と公債費の増による影響が大きい。引き続き人件費や物件費等の経常的なコスト削減に取り組むなど、行財政改革を通じて経常経費の削減に努める。
人口1人当たり人件費・物件費等決算額は前年度から24,570円増加し、類似団体の中で一番高く、平均値も大きく上回っている。人口減少の進行に加え、島内には集落が点在しており、離島という地理的条件から近隣市町村との広域行政も行えず、消防・清掃施設、保育所や学校、老人ホーム等の施設を直営で運営している影響が大きい。人件費を含む業務や公共施設の管理について、具体的な成果や目標を設定し、コスト比較による分析を行うなど、「民間ができることは民間へ」の視点でアウトソーシングに取り組むほか、事務事業の見直しによりコスト低減を図る。
ラスパイレス指数は91.9%で、職員構成の変動により前年度から0.2ポイント減少した。指数は類似団体の中で一番低く、類似団体平均値を大きく下回っている。
人口1,000人当たり職員数は前年度から0.2人増加し、類似団体の中で一番多く、平均値も大きく上回っている。離島である本市の面積は広大で、島内には多くの集落が点在しているため、行政サービスの観点からも支所や行政サービスセンターに加え、消防・清掃施設、保育所や学校、老人ホーム等の施設を直営で運営している影響が大きい。また、一般行政職の職員数は令和元年度比0.8%減少したが、人口が約1,100人減となり、人口減少が進行していることが増加要因として挙げられる。
市町村合併特例事業の実施等により類似団体平均値を上回っているが、今後も適正な事業実施や有利な地方債の活用を図り、早期是正措置が必要となる18%を超えないように留意し、公債費の負担軽減に努める。なお、令和元年度実質公債費比率については、13.4%に修正している。
本市は広大な面積と四方を海に囲まれた離島であるため、道路や漁港などの建設事業に加え、公営企業など地方債の活用が不可欠であり、また、退職手当負担額も大きいことから、類似団体平均値を大きく上回っている。後世への負担を少しでも軽減できるよう、有利な地方債の活用を図る。なお、令和元年度将来負担比率については、129.3%に修正している。
人件費に係る経常収支比率は27.7%となり、前年度から1.9ポイント増加しているが、会計年度任用職員制度開始に伴うものであり、今後は公共施設の適正配置等の行政改革を通じて定員適正化計画等により人件費の削減に努める。
物件費に係る経常収支比率は14.6%となり、前年度から0.6ポイント増加した。物件費の内訳としては、委託料と需用費が大きな割合を占めている。今後は公共施設の見直し等により、管理委託料や修繕費等の削減に努めるほか、事務事業の見直しにより物件費の抑制を図る。
扶助費に係る経常収支比率は5.5%となり、前年度から1.4ポイント減少した。類似団体の中では低い比率となっており、障害者福祉に要する経費は横ばい傾向にあるものの、その他の経費については、人口減少等に伴う減額が要因として挙げられる。今後も扶助費の性質を考慮しながら、社会保障関係経費の動向を注視するとともに歳出の適正化に努める。
その他に係る経常収支比率は11.7%となり、前年度から5.1ポイント減少した。主な要因としては、令和2年度から下水道事業が公営企業(法適用)となり、性質区分を繰出金から補助金等に変更したためである。今後も公営企業の経営基盤強化・健全化に取り組み、繰出金等の抑制に努める。
補助費等に係る経常収支比率は類似団体平均値よりやや低い11.0%であるが、前年度から5.3ポイント増加した。要因としては、令和2年度から下水道事業が公営企業(法適用)となり、性質区分を繰出金から補助金等に変更したためである。今後は、類似事業や同一同種団体に対する補助金等の整理統合を行うなど、補助金の目的、妥当性、効果等を検証し、終期の設定や目的を達成した補助金の廃止等の見直しに取り組む。
公債費に係る経常収支比率は24.1%となり、前年から0.4ポイント増加した。本市は離島であるため、道路や漁港などの建設事業の割合が高く、地方債の活用が不可欠であることから、類似団体平均値を上回っている。今後は、合併特例債の償還額が減少することに加えて、市債発行額の抑制等により公債費の縮減に努める。
公債費以外に係る経常収支比率は70.5%となり、前年度から1.3ポイント増加しており、年々増加傾向にあるが、人件費や物件費等の増加が主な増加要因として挙げられる。また、高齢化に伴う社会保障関係経費や老朽化に伴う公共施設の維持管理費の増加など喫緊の課題への対応も予測されることから、公共施設の適正配置や事務事業の見直し等の行財政改革を通じて経常経費の削減に努める。
(増減理由)財源不足調整のため財政調整基金を18.6億円取り崩したことに加えて、安心安全まちづくり事業や消防指令システム改修費などの普通建設事業費等の財源として地域振興基金を3.3億円取り崩したことなどにより、全体として18.0億円減少した。(今後の方針)各基金の設置目的と事業内容に基づき、計画的に積立てと取崩しを行う。なお、管理運用にあたっては、安全確実であることを基本としながら、効果的な運用に努める。
(増減理由)新型コロナウイルス対策に関連した取崩しなどもあり、11.8億円減少した。(今後の方針)標準財政規模の20%程度を維持するように努める。令和3年度末の残高は62億円程度と見込んでいる。
(増減理由)財源対策債等の償還に係る財源として2.0億円を取り崩したことにより減少した。(今後の方針)現在が公債費負担のピークの状況にあるため、計画的に取崩しを行う。令和3年度末の残高は14億円程度と見込んでいる。
(基金の使途)○地域振興基金:市民の連携の強化及び地域振興の事業の財源に充てる。○過疎地域自立促進特別事業基金:地域医療の確保、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、集落の維持及び活性化その他の住民が将来にわたり安全に暮らすことができる地域社会の実現を図るための事業の財源に充てる。○行政庁舎建設基金:行政庁舎建設事業の財源に充てる。(増減理由)○地域振興基金:安心安全まちづくり事業や消防指令システム改修費などの事業費の財源として3.0億円を取り崩したことにより減少した。○過疎地域自立促進特別事業基金:過疎対策事業債の基金造成分などにより2.6億円を積み立てた一方で、産業振興、高齢者等の保健及び福祉の向上及び増進、医療の確保等の事業費の財源として2.9億円を取り崩したことにより減少した。○行政庁舎建設基金:本庁舎建設の財源として1.0億円を積立てした。(今後の方針)各基金の設置目的と事業内容に基づき、計画的に積立てと取崩しを行う。
債務償還比率は812.7%で増加傾向にあり、類似団体と比較し高い水準にある。地方債残高が年々減少傾向にあり、令和2年度は財政調整基金等の取崩しを行ったため、充当可能基金が減少したほか、類似団体と比較して職員数が多く、人件費が高い水準にあるためである。今後も公債費負担の適正化に取り組んでいくとともに、行政改革を推進し、人件費の削減に努めていく。
固定資産台帳整備中なお、令和元年度将来負担比率については129.3%に修正している。
実質公債費比率と将来負担比率ともに類似団体と比較して高い水準であり、将来負担比率は上昇傾向にある。充当可能基金などの減による充当可能財源の減によるものである。今後も公債費負担の適正化に取り組んでいく。なお、令和元年度将来負担比率については129.3%、実質公債費比率については、13.4%に修正している。
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