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地方財政ダッシュボード

熊本県美里町の財政状況

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

人口の減少や高い高齢化率(老年人口割合51.0%県内3位・令和6年版熊本県人口推計調査より)、町内に経済のエンジンとなる産業が存在していないこと等により財政基盤が弱いため、財政力指数は類似団体と比しても大きく下回っている。移住定住政策等の人口減少対策の推進により、財政基盤のみならず、町の体力増強に努めるとともに、公共施設マネジメント計画に基づく施設の更新、長寿命化、複合化、除却等を進めながら、行政サービスの民間委託の実施等での歳出見直しや行政の効率化に努めることで、財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

近年増加傾向にて推移しているが、これは普通交付税の激変緩和措置期間に合わせて、合併特例債を活用し基金造成を行ったことで公債費が増嵩していることが主たる要因である。今後中期的には震災関連の起債の償還の影響を見込んでおり、長期的には宇城広域連合実施の大型事業に伴う公債費負担金の影響により高い水準を推移することが見込まれる。以上のように中長期的に固定的な費用負担が見込まれる状況であるため、新規の公債費については抑制に努める必要がある。また、公債費の増加のみならず、物件費の増加(施設の解体・修繕経費の発生や原油価格高騰に伴う光熱水費・燃料費の増加)も要因として考えられる。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

物件費については、旧工場跡地解体工事や公共施設・設備の修繕に係る経費の発生、原油価格高騰による光熱水費・燃料費の増加が要因として挙げられる。一方人件費については、退職金手当事務組合の制度改正により、定年等退職の特別負担金が減少した影響が大きく、減額となった。総額でみると物件費の増額幅が大きく、前年度比増となった。なお、今後は人件費についても増加していく見込みであることから、経費削減に努めなければならない。

ラスパイレス指数の分析欄

類似団体、全国町村平均をともに度下回る状況にあるが、今後も定員管理計画等に基づき、給与の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

前年度に比べ、職員数が増加したことに加え、町内人口の減少幅が大きいこともあり、人員の減少を行わなければ「人口1,000人当たり職員数」は増加する環境にある。庁舎の分庁方式や給食調理の自校方式の見直し等今後、本町の地域性によりを考慮しつつ住民サービスの維持を大前提に、負担が過大とならないよう検討を行っていく。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率については平成30年度までは平成19年度から28年度に取り組んだ財政改革による公債費抑制の効果により減少傾向にあったが、平成28年の熊本地震等災害関連の公債費の償還及び平成27年度より造成を行っている合併特例債に係る基金造成分等の償還の影響により悪化傾向にある。宇城広域連合において実施された大型建設事業に伴う元利償還金の増加が見込まれる状況にあり数年間は悪化傾向が続くものと思われるため、今後も有利な起債の活用等による負担の軽減を図る必要がある。

将来負担比率の分析欄

充当可能財源の維持により将来負担比率は低水準を維持している。今後宇城広域連合による大型事業の財源としている起債のために、組合等負担等見込額の増加が見込まれるため、支出状況を注視し財政の健全化に引き続き努める必要がある。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

人件費は昨年度と比べ1.1ポイント減少している。令和5年度より段階的に定年引上げとなり令和13年度まで続く退職手当事務負担金の調整により令和5年度は減少した。しかし、職員数は増加しているため、今後も民間委託で効率化を図る業務、職員が必要な業務の精査をすることで、人件費の抑制に努める必要がある。

物件費の分析欄

昨年度に比べ1.5ポイントの増加している。旧工場跡地解体工事や公共施設・設備の修繕に係る経費の発生、光熱水費・燃料費の原油価格高騰による光熱水費・燃料費の増加が要因として挙げられる。今後も施設の老朽化に伴う維持管理、行政DX化により整備したデジタル機器のランニングコストが必要となるため増加すると見込まれる。

扶助費の分析欄

昨年度より0.2ポイント改善しているが、少子化の影響により児童手当が前年度比6.3百万円減少したことが要因である。しかし、今後、高齢化に伴う扶助費の割合は増加傾向にあると考えられるため、安定的なサービス提供のため財源確保等健全な財政運営に努める。

その他の分析欄

昨年度より1.3ポイント増加しているとともに、類似団体より高い水準で推移している。簡易水道事業特会別会計の繰出が48百万円増加している。そのうち事務費が38百万円と増加幅が大きく、中央北地区簡易水道工事実施設計委託及び中央地区簡易水道工事(送水管敷設)を実施したことが影響している。

補助費等の分析欄

類似団体平均比で2.9ポイント下回っているが、前年度比では1.6ポイント増加した。宇城広域連合負担金(消防費)が54百万円増加した。新消防署の建設が完了し宇城広域連合においては令和5年度より臨時的経費が減少し消防経費の総額も減少したことで経常的経費の割合が前年度比較で増加した。また、旧消防署解体に伴う宇城広域連合の一般財源経費は増加したため、本町の負担金額が増加した。経費総額に占める経常的経費の割合が増加し負担金額も増加したことにより、経常的経費が増額したと考えられる。

公債費の分析欄

前年比1.8ポイントの増加となっている。償還が完了したものに対し、償還が開始された償還額が大きかったことが要因と考えられる。また、合併特例債の増加も要因の一つである。令和6年度までは増加傾向にあり、そこをピークに減少する見込みであるが、今後の起債発行については引き続き計画的に行う。

公債費以外の分析欄

昨年度と比べて3.1ポイント増加している。これは新型コロナウイルス感染症の蔓延防止として中止・縮小していた事業が順次再開されていることが主な要因と考えられる。経常経費について不断の見直しを行い、経常的な経費に充当可能な財源の確保を図る。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費では、旧工場跡地の解体や行政のDX化の推進に伴う経費、物価高騰対策として実施したLPガス使用世帯支援事業等が主な増加要因として挙げられる。商工費では、物価高騰への対応として地域通貨発行事業などの地域経済活性化対策を講じたことにより増加した。災害復旧費では、平成28年熊本地震及び豪雨災害の影響による事業はほぼ完了してきたところであるが、近年の集中豪雨による災害の発生件数が増加傾向にあることから横ばいとなった。公債費について増嵩がみられる原因は合併特例債を活用し基金の造成を行っていることが大きく影響している。当該、基金造成に係る起債の償還がおおむね令和6年をピークに続き高い水準が続くため、今後地方債の発行に際しては、交付税措置率の高いものを活用する、発行額の抑制を行う等、健全な財政運営を行うことに念頭に置くこととする。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

災害復旧事業費については、平成28年熊本地震並びに豪雨に係る事業はほぼ完了したが、類似団体よりも非常に高い水準である。これは地形的に災害が発生しやすい場所に位置していることに加え近年の集中豪雨の規模が大きくなっていることが考えられる。扶助費については町の独自施策であるこども医療費の助成事業、県の施策である重心医療扶助制度により類似団体平均よりも高い水準にあるものと思われる。公債費については、地方交付税の合併算定替の縮減に合わせ、合併特例債を活用し基金の造成を行っていることが影響している。併せて当該基金造成に係る起債の償還がおおむね令和6年度をピークに続き高い水準が続くため、今後地方債の発行に際しては、交付税措置率の高いものを活用する、発行額の抑制を行う等、健全な財政運営を行うことに念頭に置くこととする。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

災害等の不測の事態や財源不足に備えるため歳出不用額を積み立てつつ、予防接種事業、公共施設の修繕、災害復旧事業等に対する取り崩しを行ったが、財政調整基金残高は増加した。しかし、標準財政規模が増加したため割合については減少となった。臨時的経費の増加により取り崩し額が増加したため、実質単年度収支が減少した。財政調整基金残高については、今後宇城広域連合で実施した大型施設整備に係る建設費・公債費負担金について令和32年度まで約16億円の一般財源が必要となると予測され、減債基金での対応も限られていくため、減少していくと見込んでいる。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

令和5年度決算は、すべての会計において黒字となったが、前年度に比べて一般会計及び国民健康保険特別会計において標準財政規模に対する黒字の割合が減少した。介護保険特別会計は近年黒字の割合が増加しているが、その他の会計では大きく増加したものはなかった。簡易水道事業会計及び生活排水特別会計についても現在時点で赤字ではないが、財源不足分を基準外繰出で赤字補填している状況にある。これらの公営企業会計は独立採算できるよう、使用料の適正化など健全な財政運営に努める必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

平成28年熊本地震関連事業の元金の償還割合が増加してきたことにより、元利償還金全体として増加した。今後、組合等が起こした地方債の元利償還金に対する負担金等及び公営企業債の元利償還金に対する繰入金についても段階的に増加していく見込み。交付税算入率の有利な起債の活用を行い実質公債費比率の上昇の抑制を図っているところであるが、実質公債費比率(3ヵ年平均)が8.1%と、増加傾向にあるため計画的な財政運営に努めていく。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

将来負担比率は、将来負担額を充当可能財源等が上回っているものの、将来負担比率の分子のマイナス額が減少している。将来負担額については、地方債現在高は482百万円、退職手当負担見込額が27百万円それぞれ減少しているが、その一方で宇城広域連合が実施した大型施設整備の影響により全体で82百万円減少となった。充当可能財源等については、財政調整基金残高が増加したことにより充当可能基金総額で88百万円の増額となっており、基準財政需要額算入見込額は地方債残高の減少に伴い246百万円減少した。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)全体では116百万円増加しており、主な増加の要因としては財政調整基金7百万円、地域振興基金74百万円、水道事業基金45百万円及びふるさと応援基金が35百万円増加したことである。なかでも水道事業基金では、水道未普及地域の旧中央地区への水道拡張事業に備えて積立てを行っている。取崩しを行った主なものとしては減債基金の73百万円、公共施設整備基金の10百万円が挙げられる。(今後の方針)財政調整基金は、短期的には歳計剰余金処分による積立を原則とし、中期的には宇城広域連合の大型施設整備(汚泥再処理センター・消防施設「三角分署・美里分署」・エネルギー回収型廃棄物処理施設)等に要する建設費・公債費負担金については16億円強の一般財源を要すると予測され、減債基金での対応も限られてくるため減少していくものと見込んでいる。減債基金については、宇城広域連合の大型施設整備に係る公債費負担見込額が16億円を超え、平準化を図るために取崩しにより基金の減少が見込まれるが、適宜、可能な範囲で増額を図り、後年度の負担軽減に備えたい。

財政調整基金

(増減理由)運用益及び決算に伴う積立金等で212百万円を積み立て、205百万円を取り崩した。(今後の方針)宇城広域連合の大型施設整備にかかる建設費・公債費負担金により今後も取り崩しが見込まれるが、積立については毎年度の決算状況を踏まえ、歳出剰余金処分での積立を基本とし、合併当初持ち寄った額800百万円を下回らないよう標準財政規模の4%程度を目安としている。

減債基金

(増減理由)減債基金については公債費が令和5年度から令和8年度までは10億円を超える高水準で推移することから、公債費負担の平準化を図るため71百万円及び熊本地震廃棄物処理基金分の3百万円を繰入れた。(今後の方針)宇城広域連合の大型施設整備に係る公債費負担見込額が16億円を超え、平準化を図るために取崩しにより基金の減少が見込まれるが、適宜、可能な範囲で増額を図り、後年度の負担軽減に備えたい。

その他特定目的基金

(基金の使途)地域振興基金の使途は町の振興及び地域活性化事業の費用に充てることとなっている。水道事業基金の使途は水道施設の整備に要する経費及び簡易水道事業にかかる町債の償還の財源に充てることとなっている。公共施設整備基金の使途は公共施設の整備に要する経費に充てることとなっている。ふるさと応援基金については、美里町振興計画の基本計画に掲げる事業等の費用に充てることになっている。地域福祉基金については、地域福祉推進事業の費用に充てることとなっている。(増減理由)地域振興基金は、100百万円の積立てに対し、工場跡地調査業務、農業振興地域整備計画基礎調査業務、地域福祉活動計画策定業務等の地域振興事業への取り崩しを25百万円行った。水道事業基金は、今後の町内の水道未普及地域の解消事業推進のために45百万円積み立てたため増加となっている。ふるさと応援基金は、ふるさと納税による59百万円の積立てに対し、対象事業の財源として19百万円を取り崩した。(今後の方針)短期的には令和6年度までに合併特例債を原資に地域振興基金への積立を行い、中期的には美里町公共施設等マネジメント計画及び個別施設計画に沿った事業実施時期に必要額を確保できるように公共施設整備基金を取り崩していくが、更新・除却等に係る費用が高額になるため可能な範囲で積立による増額を図りたい。また、水道事業基金については令和5年度から開始した中央北地区の拡張工事に係る事業費が30億円を超える見込みであり、繰り入れて事業を行いながらも可能な限り基金の積立額を増額したい。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

類似団体内平均値よりも0.4%低い値となっているが、個別の償却率を見てみると【公営住宅】で73.7%で、【公民館】で78.6%で、【福祉施設】で73.9%など、類似団体内平均値を上回る高い数値となっている。後年度の計画的な改修のため「公共施設整備基金」への積立て等により財源の確保に努める。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率については、類似団体内平均値より128.2%高い443.6%となっているが、全国平均や県平均と比較すると低い数値となっており、今後も健全な償還が可能であると考える。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

平成30年度以降は、将来負担比率は発生しておらず、類似団体内平均値を大きく下回っている。これは、充当可能財源等の基準財政需要額算入分が有利となる辺地債・過疎債・旧合併特例債を活用していること、宇城広域連合実施の大型工事に係る負担金に対応するために造成していることなどが要因と考える。有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値と近似値にあるが、【公営住宅】【福祉施設】等については償却率が高いため、今後、更新・改築・改修等が進めば将来負担比率が上昇することが見込まれる。今後は「美里町公共施設マネジメント計画」に基づいた管理を行うことで、財政負担の平準化及び適正化を図る必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

平成30年度以降は、将来負担比率は発生しておらず、類似団体内平均値を大きく下回っている。実質公債費比率については、前年度から1.4%高い値となっている。類似団体内平均値よりも0.3%下回ってはいるが、近似値となっている。将来負担比率は、引き続き交付税算入公債費等に有利な地方債の活用を図ることで上昇を防ぐこととしているが、「簡易水道事業」の拡張工事が令和5年度より本格的に始まり、水道事業基金や財政調整基金の減少等により、今後は上昇することが懸念される。同じく、実質公債費比率についても、「簡易水道事業」等の財源として起債額が上昇することで、中長期的に避けられないと見込まれる。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率は、【学校施設】【一般廃棄物処理施設】及び数値が無いもの以外は、全て県平均を上回っている。【認定こども園・幼稚園・保育所】【公営住宅】等については、類似団体内平均値と比較して償却率が高くなっている。これは、多くの公共施設が昭和50年代に建設されており、施設の老朽化が進んでいることが要因となっている。また、【道路】においては、一人当たりの延長が国・県平均と比較して大きくなっている。これは、本町の「面積の広さ」及び「人口減少」に起因するものと考えられる。今後は、「美里町公共施設等マネジメント計画」及び「個別施設計画」を基に各施設の長寿命化・改修・統合・除却等を行うとともに、後年度の財政負担に対応すべく「公共施設整備基金」の活用を図っていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率は、【一般廃棄物処理施設】及び数値が無いもの以外では、全ての施設において県平均を上回っている。【保健センター・保健所】【福祉施設】については、類似団体内平均値と比較して償却率が高くなっており、【体育館・プール】【消防施設】【庁舎】については、低くなっている。一人当たりの面積については、類似団体内平均値と比較しても広くなっており、国・県平均を大きく上回っている。これは、本町が合併団体であり、重複する施設を有していることと、庁舎については、分庁方式を採用していることなどが主な要因となっている。今後は、「美里町公共施設マネジメント計画」及び「個別施設計画」を基に、各施設の長寿命化・改修・統合・除却等を行うとともに、後年度の財政負担に対応すべき「公共施設整備基金」の活用を図っていく。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

これまでに本町では、一般会計等ベースで約368億円の資産を形成してきています。その資産のうち、86.3%は土地や建物、工作物などの有形固定資産及びソフトウェアなどの無形固定資産で形成されています。また、基金は固定資産、流動資産を合わせて約43億円を所有しており、資産の11.6%を占めています。一方で、将来世代が負担すべき負債は約83億円となっており、資産に対して22.4%となっています。将来負担の多くを占めるのは、地方債が約73億円となっています。また、地方債の中には、国からの地方交付税措置を受ける臨時財政対策債が約21億円あります。純資産は形成した資産に対して負担の必要がない金額を指しており、資産に対して77.6%となっています。この中で、余剰分(不足分)が約77億円となっていますが、これは基準日時点における金銭必要額を指しており、ほぼ全ての地方公共団体がマイナスになることが予想されます。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

毎年継続的に発生する費用である経常費用は約71億円となっています。業務費用と移転費用に分かれており、人件費や物件費などの業務費用が約41億円で58.1%、補助金や他会計への繰出金など外部へ支出される移転費用が約30億円で41.9%となっています。また、有形固定資産や無形固定資産の1年間の価値の目減り分である減価償却費は約18億円計上されています。一方で、サービスの対価として徴収する使用料や手数料、受取利息などが該当する経常収益は約3億円となっており、経常費用に対して4.2%となっています。この数字は将来的には受益者負担が適正かどうかを検討する場合の一つの材料として使用することが考えられます。臨時的に発生した損益を含めて、最終的な行政コスト(純行政コスト)は約72億円となっています。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

行政コスト計算書で計算された純行政コスト約72億円に対して、町税や各種交付金、分担金や負担金、他会計からの繰入金である税収等は約48億円、国からの補助金が約18億円となっており、純行政コストと財源の差額は約5億円となっています。また、無償で取得した資産等の増減額を加味した本年度純資産変動額は約5億円となっており、これは今まで積み重ねてきた財源を消費したことを意味します。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

経常的な業務活動収支においては、約10億円の黒字となっています。それに対し、投資活動収支は約6億円の赤字となっています。主な投資活動支出として、公共施設整備支出で約8億円、基金の積立支出で約4億円があります。主な投資活動収入として、公共施設整備に係る補助金が約3億円、基金の取崩収入が約3億円あります。財務活動収支は町債の償還と発行が関わっており、約5億円の赤字となっています。これは、町債を償還した額が発行額よりも多かったためであり、負債である地方債の総額の減少につなながっています。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額は、合併直前に旧町毎に整備した公共施設(庁舎、文化センター、総合体育館等)のほか、社会資本総合交付金事業や道路整備交付金事業によるインフラ整備を実施してきた経緯があり、類似団体平均値と比較しても大きくなっています。「美里町公共施設マネジメント計画」において長寿命化を図る一方、適正な施設量にするために複合化、除却等により保有量を減らす(40%削減)ことを目標として定めており、施設保有量がわずかに減少しています。また、人口も189人減少しましたが、住民一人当たりの資産額は2.8万円減少することとなっています。歳入額対資産比率については、資産合計は減少傾向にあるものの、今後は水道施設の拡張、庁舎、学校、教育・文化施設等の大規模改修を控えており、増加の要因となることが見込まれます。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体平均値に近似しており、資産合計は令和4年度から1,042百万円減少しています。債務の多くを占めるものは地方債であり、将来世代負担比率は有形・無形固定資産の合計は1,036百万円減少ています。また、地方債残高(特例地方債の残高を控除した額)も減少しました。比率も0.2%減少し、類似団体平均値を1.9%下回っています。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たりの行政コストは、純行政コストが309百万円増加しています。これに併せて人口も189人減少したことから、2.1万円増加となっており、類似団体平均値より4.8%上回った数値となっています。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は、平成28年熊本地震及び豪雨災害により災害対策債や災害復旧事業債の地方債発行は影響し、平成28年度から増加傾向にあったが、令和2年度から減少傾向に転じており、令和5年度についても前年度と比較すると5,010百万円減少した。人口については189人減少しており、住民一人当たりの負担額は3.3万円減少する結果となった。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、経常収益が68百万円増加し、経常費用は19百万円減少したことから、当該値は1.0%増加しました。これを類似団体平均値と比較すると5.8%低くなっています。今後は、維持補修費の増額が顕著に表れることが予測され、適宜、公共施設や水道等の各種使用料を見直すとともに、「美里町公共施設マネジメント計画」及び「個別施設計画」に沿った長寿命化・集約化を図っていく必要があります。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,