経営の健全性・効率性について
岩内町水道事業は、昭和48年に創設の事業認可を受け、昭和50年より給水を開始し、現在に至る。ここ数年の経営状況は、経常収支比率、料金回収率が100%を下回っており、料金収入のみでは費用を回収できておらず、厳しい経営状況が続いている。また、将来的にも給水収益の減少が見込まれるため、今後、両比率については悪化していくことが予想される。主な要因として、給水収益はここ数年横ばいで推移しているものの、平成19年度より計画的に実施してきた浄水場電気機械設備の更新や、配水本管の改修により、減価償却費や支払利息等の経常費用が増加しているためである。企業債残高も上記設備の更新により増加しており、類似団体と比べ企業債残高対給水収益比率が高くなっている。流動比率は平成28年度から類似団体を僅かに下回り、今後も資金の減少、企業債の償還のため、下降していく見込みである。施設利用の効率性については、類似団体と比べて低い値を示しているが、約半日浄水場を稼働させることにより、一日の配水量を確保できることから、労務等運転経費が削減されており、現状では費用的な観点からは効率的であると考えている。しかし、施設利用率が更に低下した場合は、浄水施設の老朽化対策も含めて、施設の規模縮小等の検討が必要であると考えている。
老朽化の状況について
老朽化の状況は、平成27年度末において、大半の管路が耐用年数を迎えた所である。平成19年度から実施している計画的な改修工事では、町の基幹管路となる導水管及びΦ350~Φ450の配水本管の一部を既に改修しており、現在は重要度の高い配水本管等から計画的に更新を進めている。有収率は、計画的な漏水調査等を実施しているが、依然低い値である。そのため継続的に調査を行い修繕を進める必要がある。
全体総括
今後、給水人口の減少により、給水収益の悪化が避けられない状況が予想され、そのなかで耐用年数を迎える浄水場や配水管の老朽化対策に着手しなければならない。安心で安全な水道水を供給するためには、重要度の高い配水本管から計画的に更新する必要があり、これらの更新財源を確保することが必要不可欠である。更新財源を企業債のみに依存する経営は、負担を将来に先送りするだけであり、自己財源の確保が急務であると考えている。現状の水道料金では、経常収支比率、料金回収率から判断しても、厳しい状況にあることから、料金改定を具体的に進めていくため、令和2年度に附属機関(上下水道料金等審議会)を組織し議論をスタートさせている。令和3年度には料金の改定について決定し、令和4年5月より新料金での営業を開始しているため、今後の収益と費用について再分析し健全な経営を継続的に行えるよう改善に取り組んでいく。