経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を下回っており、費用が収益を上回り、収益性が低下しています。②累積欠損金も、9.17%となっており、約9,500万円の欠損金を計上しています。③流動比率は、100以上を維持しているものの、現金等の流動資産が減少したことが原因で、昨年度より約143%低下しております。④企業債残高対給水収益比率は、約40%増加し、給水収益の約6.6倍となっています。簡易水道事業と統合したことにより、簡水の起債残高約12億円を上水道事業が引き受けたことによるものです。⑤料金回収率は、89.56%と、100%を下回ったことで、適正な料金収益が確保出来ていないことになります。よって、費用を抑制するか、料金を改定するかなどの選択が必要です。⑥給水原価は、昨年度より大幅に増加しております。①経常収支比率~⑥給水原価の数値が表す、経営悪化の原因は、平成29年度に、簡易水道事業と統合したことによる、費用の増加、収益性の低下が主な原因です。⑦施設利用率⑧有収率については、類似団体とほぼ同じか高くなっており、効率的な運営、管理が出来ていると言えます。簡易水道事業との統合で、将来もこの傾向は続くと思われ、平成30年度策定予定の経営戦略の年度計画に基づき、経営の合理化、費用の縮小は引き続き継続しますが、将来的に料金の改定も視野に入れる必要があります。また、人口減少により、施設の規模の縮小、施設の合理化を進めることはもちろんですが、一方で、耐震化、老朽化対策などの投資的経費は、毎年増加傾向です。収益の増加が見込めない時期については、投資的経費を抑制せざるを得ません。平準的な投資を行うためにも、経営戦略の策定が急務となっています。
老朽化の状況について
水道管の耐用年数は、標準的に40年と言われていますが、本市においては、①有形固定資産減価償却率②管路経年変化率、いずれも類似団体と比較して、ほぼ変わらないもしくは、高くなっています。よって年々老朽化が進んでいることがわかります。③管路更新率については、進捗していません。その要因は、現在、人口減少や将来的な維持管理の軽減並びに災害に強い水道施設を考慮し、施設の統廃合や、規模の縮小並びに耐震化事業を優先して実施していることからです。具体的には、南郷地域の浄水場を廃止して、日南地域から送水する上水再編推進事業及び伊比井地区と富土地区の水道を統合する旧簡易水道事業再編推進事業などを優先して行っています。少なくともこれらの事業にあと15年ほどの事業期間を要するため、管路更新率は、当面の期間、同水準での推移が予想されます。
全体総括
昨年度までは、おおむね良好な経営状態でありましたが、平成29年度の簡易水道事業との統合により、収益の増に比較して、費用の増加が上回ることとなり、経営を圧迫しています。簡易水道事業会計は、主に人口密集地以外を区域としていることから、収益性が保てず、一般会計繰入金を補填して運営を行っていましたが、上水道事業のスケールメリットを活用するために統合を行いました。結果、上水道会計は、一般会計繰入金を繰り入れないことから、統合により発生する損失を、上水道会計の収益で補填することとなりました。よって、今後は、平成30年度策定予定の経営戦略に基づき、費用の更なる抑制、建設改良費の削減などは引き続き実行しながらも、人口減少による収益の低下も考慮しながら、料金改定を視野にいれる必要があります。