経営の健全性・効率性について
平成28年4月1日に簡易水道事業を統合後、初の決算年度となったが、同日付で水道料金の改定(約8%の増)を行ったことから、前年度と比較した各種指数は、①の経常収支比率が114.86%から119.77%へ上昇し、④や⑤の指数も改善するなど、全体的に改善傾向にあるが、給水人口及び有収水量自体は減少が続いていることから、今後も安定した経営状況が続くわけではなく、財務の改善については引き続き取り組む必要があると考えられる。前年度比で1%以上悪化した指数としては、給水原価が212.50円から219.76円に上昇(上昇率3.42%)し、施設利用率も61.37%から51.31%へと減少(減少率16.39%)しているが、給水原価及び施設利用率の数値の悪化は、簡易水道の統合が主な要因と考えられる。類似団体との比較については、①~⑤については良好な指数を示す反面、⑥~⑧については劣った指数となっており、特に⑥の給水原価については当市が219.76円、類似団体が162.24円で、当市は類似団体と比較して35.45%高く、大きな乖離がある。当市の給水原価は、長い海岸線・半島部・島嶼部を抱える地理的要因により従来から高かったが、簡易水道の統合によりさらに上昇している。これらの半島部・島嶼部については、施設数の割に給水人口が少なく、人口減少率も非常に大きい地域のため、特にこれらの地域を中心とした施設の統廃合やダウンサイジングが課題となっている。
老朽化の状況について
②の管路経年化率については、昨年の7.47%から今年度は10.29%へ上昇した。類似団体平均の13.39%よりは低いものの、当市の管路布設状況は昭和50年から昭和57年の敷設が管路総延長の55%を占めるため、今後大きく上昇することが見込まれている。また①の有形固定資産減価償却率及び③の管路更新率は、積極的な更新投資により前年度より改善したものの、類似団体と比較して劣った状態にあることから、当市は全体として他団体以上に老朽化が進んだ状況にあるといえる。現在は平成35年度までの第7次整備計画が進行しているが、今後は管路の経年化が老朽管の更新延長を上回ってくるため、重要度や事故率等を勘案し、優先順位をつけて、効率的な更新を進めている状況である。
全体総括
28年度決算においては概ね良好な結果となっているが、今後は経営面での減収及び老朽化の急激な進行が見込まれており、厳しい事業運営が想定されている。加えて簡易水道事業の統合に伴う財政当局との適切な負担割合の協議や、水道企業団との統合検討など、諸課題も山積しているが、長期的で計画的な視野のもと、安定した事業運営に全力を尽くす所存である。