経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率は経常収益÷経常費用×100で算出されるが、この数値が100%を下回ると費用を収益で賄われていないということになり、将来の経営状況は非常に厳しいものとなる。阿南市は109.44%であり類似団体より低い数値であるが、この2~3年は少しずつ改善されてきている。また②の複数年度において累積してきた欠損金(累積欠損金比率)は、平成26年度から0%で、これだけ見ると健全な数値といえる。しかし③の流動比率(流動負債に対する流動資産の割合であり、短期債務に対する支払能力を表している)は、200%が望ましく100%を切ると不良債務が発生すると言われているが、本市は195.51%で、類似団体よりも低い数値である。さらに④の企業債残高対給水収益比率は、依然として類似団体の2倍の数値を示していて、将来に大きな負債を抱えていることがわかる。企業債残高については、まだ類似団体よりは数値が悪い状態であるが、この数年は工事を抑え企業債償還に重点を置き、平均して3億7千万円程、毎年減額している。また⑧の有収率(配水量に対して、有益に使用される量の割合)は、漏水が多いと有収率が小さい値になるが、類似団体より低い数値になっている。これは老朽管の布設替工事や漏水調査等が進んでいないことによるもので、今後は平成29年4月の料金改定(値上げ)で得た収益で、老朽管の布設替工事等を実施し、有収率の向上につなげていきたい。
老朽化の状況について
②の管路経年化率は、特にこの数年は類似団体と比べても高い比率になっている。また③の管路更新化率は過去5年間、類似団体の半分以下の数値となっている。これは、経営状況の悪化により、老朽管の布設替工事が進んでいないことを意味しているが、今後は平成29年4月の料金改定(値上げ)による収益を財源として管路更新投資ができるよう、進めていく必要がある。
全体総括
経常収支比率や流動比率も良くないが、特に企業債残高対給水収益比率や有収率等で類似団体より悪い数値となっている。また老朽化の状況では、老朽管の管路更新が進んでいない状況を表している。こうした状況を踏まえ、市民の皆さまの理解を得ながら、平成29年4月に料金改定(値上げ)を実施しました。これにより生じた収益で少しずつ、建設改良費の財源ができてくる予定で、今後は、老朽管及び老朽施設の更新・耐震化を、緊急性を考慮しながら、順次進めていきたい。