経営の健全性・効率性について
経常収支比率については、平成25年度から5年連続で100%を下回っており類似団体や全国平均と比較しても低い水準となっている。平成29年度も引き続き累積欠損金が発生しており、収益の確保等経営状況の改善が必要な状況である。料金回収率についても、経常収支の悪化により100%を下回っている。給水収益以外の主な経常収益としては、その他営業収益の下水道使用料調定等事務受託料及び加入金、他会計補助金の退職手当金繰入金がある。施設利用率については、横ばいではあるが人口減少や節水機器等の普及により給水量の減少が考えられることから施設利用率の低下が見込まれる。一方で有収率については高い傾向にあり、漏水やメーター故障等が少なく、効率的に水の供給が行えていると言える。流動比率については、新会計基準の導入(八幡市では平成26年度に導入)により企業債が資本から負債へ振替となったことにより、平成25年度から平成26年度にかけては、当市においても全国的にも大きく数値を下げている。平成29年度については、前年度と比較して未払金が多くなったことにより、大きく減少しているが、これは一時的なものである。また、数値としては100%以上あるので支払能力については十分あるものと現時点では言える。ただし、5年連続で経常収支比率が100%を下回っているため、今後現金の減少が見込まれ、流動資産が減少するものと思われる。
老朽化の状況について
男山団地等の開発時に布設された管路が更新時期を迎えていることから管路経年化率が大きくなっている。類似団体と比べても数値、増加幅共に大きい。また、管路更新率についても平成25年度から類似団体平均値を下回っている。漏水等を未然に防ぐためにも順次更新が必要である。なお、有形固定資産減価償却率については、平成26年度に新会計基準を導入したことで、補助金等を財源とする固定資産や受贈資産について、みなし償却の廃止を行ったことから、減価償却累計額が大幅に増加し、これにより減価償却率が増加した。
全体総括
平成29年度については、有収水量や給水収益は前年度と比較して減少した。給水契約件数は微増傾向にあるものの、当市の水道料金は逓増性が高い(基本料金が安価)傾向にあるため、人口減少や少子高齢化、節水機器の普及等による契約件数あたりの使用水量が減少することにより、給水収益が減少している。しかし、平成30年度から料金改定により、給水収益は増加する見込みである。また、管路の老朽化は進んでおり、今後も更新が必要な配管が増加していくことから、これらの財源の確保が課題となるが、企業債残高対給水収益比率についても類似団体より高くなっており、将来負担を考慮すると借り入れは最小限に留め、より効率的な運営に努めていくことが必要となる。