経営の健全性・効率性について
経常収支比率については、平成25年度から4年連続で100%を下回っており、平成28年度では累積欠損金が発生し、収益の確保等経営状況の改善が必要である。平成28年度については旧科手浄水場跡地の売却があり、これに係る資産減耗費が発生したため例年より経常損失が大きくなり、給水原価が高くなった。料金回収率についても、経常収支の悪化により、100%を下回っている状況である。給水収益以外の主な経常収益としては、その他営業収益の下水道料金調定等事務受託料及び加入金、他会計補助金の退職給与金繰入金がある。施設利用率の低下は、給水量の落ち込みによるもので、人口減少や節水機器の普及等が影響しているものと考えられる。一方で有収率については高い傾向にあり、漏水やメーター故障等が少なく、効率的に水の供給が行えていると言える。流動比率については、新会計基準の導入(八幡市では平成26年度に導入)により企業債が資本から負債へ振替となったことにより、平成25年度から平成26年度にかけては、当市においても全国的にも大きく数値を下げている。平成28年度については前年度比とほぼ横ばいで推移しており、支払能力については、類似団体と比べてやや低いものの、現時点では十分であると言える。ただし、4年連続で経常収支比率が100%を下回っているので、今後現金の減少が見込まれ、流動資産が減少するものと思われる。
老朽化の状況について
男山団地等の開発時に布設された管路が更新時期を迎えていることから管路経年化率が大きくなっている。類似団体と比べても数値、増加幅共に大きい。漏水等を未然に防ぐためにも順次更新が必要である。一方、管路更新率については、平成25年度から類似団体平均値を下回っているが、平成28年度については道路改良等に伴う配水管新設工事を多く行い、管路の更新工事が少なかったためである。なお、有形固定資産の減価償却率については、平成26年度に新会計基準を導入したことで、補助金等を財源とする固定資産や受贈財産について、みなし償却の廃止を行ったことから、減価償却累計額が大幅に増加し、これにより減価償却率が増加した。
全体総括
平成28年度においては、有収水量や給水収益については前年度と比較し増加した。しかし、今後はこれまでの傾向から有収水量は減少し、給水収益も減少していくものと予想される。給水契約件数は微増傾向にあるものの、当市の水道料金は逓増性が高い(基本料金が安価)傾向にあるため、人口減少や少子高齢化、節水機器の普及等による契約件数あたりの使用水量が少なくなることにより、給水収益が減少していくと考える。上記の状況にも関わらず、管路の老朽化は進んでおり、今後も更新が必要な配管が増加していくことから、これらの財源の確保が課題となるが、企業債残高対給水収益比率についても類似団体より高くなっており、将来負担を考慮すると借り入れは最小限に留め、より効率的な運営に努めていくことが必要となる。