経営の健全性・効率性について
経常収支比率が類似団体平均値よりも高い状態であり、累積欠損金も発生していません。また1年以内に支払うべき債務に対する支払能力を表す流動比率も全国平均値を上回っており、現在のところ健全経営となっています。しかし、施設利用率が類似団体平均値に比べ10ポイント以上低い状態が続き、給水原価も43円程度高くなっています。これは、当市が季節変動の大きな観光地であり、8月のお盆期間に帰省客と観光客の増加で水道使用量がピークを迎えるという状況が、大きな要因になっています。ピーク期間とそれ以外の差が大きく、ピーク期間に供給不足にならないように設備投資を行ってきたため、それ以外の期間は設備過剰となって施設利用率が低下、給水原価も高くなっています。常時安定給水できる設備規模が必要であるため、安易に効率性を上げるための設備縮小はできないが、人口減少及び高齢化等に伴い年間水道使用量が減少していることから、これに併せて供給能力を減らしていく必要があります。長期的には設備規模の適正化が必要ですが、短期的には低い有収率を上げることが有効であるため、人口減少に伴う給水収益の減少が予想されている中で、資金を確保し設備投資、維持管理を計画的に実施することにより有収率向上につなげていきたいと考えています。
老朽化の状況について
法定耐用年数を越えた管路延長の割合を表す管路経年化率は低いが、今後耐用年数を迎える管路が増えることが見込まれています。また管路更新率が類似団体平均値及び全国平均値より大幅に低いことから、改良が十分行われているとはいえず、老朽化が進行している状況にあり、計画的に管路更新事業を進めていく必要があります。ただし、流動比率が低下し使用可能な資金が減少しいる中で、経営状況を勘案したバランスの良い投資が必要になっています。高齢化や人口減少に伴う給水収益の見極めや、企業債残高対給水収益比率が類似団体平均値よりも低いので、企業債の借入れを検討するなど、財源を検討しながら老朽化施設の改良を実施していきます。※②管路経年化率と③管路更新率に誤りがあるため、下記のとおり修正する。②管路経年化率H27(誤)0.00→7.81(正)③管路更新率H27(誤)0.00→0.08(正)
全体総括
経常収支比率、流動比率とも100%を超えていることから、比較的良好な経営状況といえるが、少子高齢化、人口減少による給水収益の減少や、老朽化による有収率の低下と施設更新費用の増加等、将来の経営環境は厳しくなっていくことが予想されています。水道事業基本計画に基づく基幹施設の耐震化、経年管の布設替、経年施設の更新など将来に向けての投資を計画的に実行しつつ、安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画である「志摩市水道事業経営戦略」を平成29年度中に策定し、経営の効率化、健全化を図っていきます。