経営の健全性・効率性について
◇経営の健全性①経常収支比率は、大口使用者(工場)の自己水(地下水)利用への転換や、全国的な節水機器の普及に伴う給水収益の減少等により前年度より4.7%減少し、2年連続で全国及び類似団体の平均値を下回り、今後もこの傾向が続く見通しであるため、事業の効率化を進めるとともに料金改定などによる改善が必要である。②累積欠損金は引き続き発生していない。③流動比率は、全国及び類似団体の平均値を上回っているものの、平成29年度より基幹管路更新工事を開始したことなどにより228.6%減少した。④企業債残高対給水収益比率は、基幹管路更新事業の負担平準化を目的とした企業債の借入れを再開したことにより、前年度より5.7%増加したものの、全国及び類似団体の平均値を下回った。今後も借入れを継続する予定であり、将来への過度な負担にならないよう計画的な財源確保に努める必要がある。⑤料金回収率は、全国及び類似団体の平均値を上回っているものの、給水収益の減少に伴う供給単価の減少及び除却管の増加等による資産減耗費の増加等に伴う給水原価の増加により4.49%の減少し、この傾向は今後も継続する見込みであるため、注意する必要がある。⑥給水原価は、全国及び類似団体の平均値を下回っているものの、公共下水道工事に伴う配水管の除却費が大幅に増えたことなどにより3.49円の増額となり、今後も濃尾平野の揚水規制に伴う県水受水量の増加により、更に給水原価が増額する見通しである。◇経営の効率性⑦施設利用率は、配水量の減少により、前年度より1.23%減少となったものの、全国及び類似団体の平均値を上回っており、最大稼働率は84.6%、負荷率については90.8%となっていることから適切な施設規模である。⑧有収率は、前年度より0.27%増加し、全国及び類似団体の平均値を上回っている。今後も、老朽管の更新に伴い有収率の更なる向上に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、固定資産の経年経過により前年度より0.97%増加し、全国及び類似団体の平均値を上回った。平成29年度より基幹管路更新工事に着手したことにより、今後は改善する見込みである。資産のライフサイクルコストを勘案した長期的な視点で最適な更新を進めていく必要がある。②管路経年化率は、創設当初に布設した管路が耐用年数を超過し始めたことにより、前年度より0.82%の増加となったが、全国及び類似団体平均値を下回った。基幹管路更新工事を始めとし、計画的な管路の更新を進めていく必要がある。③管路更新率は、前年度より0.49%増加し、全国及び類似団体の平均値を上回った。今後も長期的な視点で計画的な更新を進めていく必要がある。
全体総括
節水機器の普及や自己水の活用などにより、水需要が低迷し、給水収益が減少する一方で、管路の老朽化や耐震化など強靭化への投資も必要になっている。常用水源施設については、平成30年度に布袋東部第2水源ポンプ場、平成31年度に上奈良水源ポンプ場の耐震化に伴う更新工事を実施し、耐震化が完了予定である。管路については、配水管改良工事により老朽管、小口径管の更新を今後も継続するとともに、平成29年度より開始した基幹管路更新工事も計画的に実施する。事業の実施には、多額の資金が必要となることから、当面、補填財源として企業債の借入れを継続する予定である。今後は、収益の悪化や、企業債残高の増加及び流動資産の減少が予測されるため、事業の効率化及び水道料金の改定を検討した経営戦略を平成31年度に策定した上で、水道事業の健全化を確保していく。