経営の健全性・効率性について
◇経営の健全性①経常収支比率は、前年度より微増となったが、全国及び類似団体の平均値が当該水道事業を上回る増加だったため、全国及び類似団体の平均値を下回った。引き続き100%以上(黒字経営)である。②累積欠損金は引き続き発生していない。③流動比率は、留保資金を流動資産として保有していることから、前年度より129.38%増加となり、全国及び類似団体の平均値を上回っている。平成29年度から基幹管路更新工事に多額の現金を使用するため、今後は減少傾向となる。④企業債残高対給水収益比率は、企業債の償還が進んでいることから、前年度より6.97%減少となり、全国及び類似団体の平均値を下回っている。基幹管路更新工事着手により、平成29年度から負担平準化を目的とした企業債の借入れを行う予定であるため、今後は増加傾向となる。将来への過度な負担にならないよう進めていく必要がある。⑤料金回収率は、給水原価の低下により前年度より0.10%の増加となり、全国及び類似団体の平均値を上回っている。今後給水原価が上昇する見込みであるため、水道料金改定の検討が必要となる。⑥給水原価は、電気料金の低下を要因とした動力費の減少により、前年度より0.76円減少となり、全国及び類似団体の平均値を下回っている。今後、自己水量の削減に伴い、増加する見込みである。◇経営の効率性⑦施設利用率は、配水量の減少により、前年度より0.58%減少となったが、平成25年に配水能力を見直し後は、全国及び類似団体の平均値を上回っている。最大稼働率が87.5%、負荷率が89.2%であることから、適切な施設規模といえる。⑧有収率は、前年度と同じで、全国及び類似団体の平均値を上回っている。今後も、老朽管の更新により有収率の向上を図っていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、固定資産の経年経過により前年度より1.11%増加となり、全国及び類似団体の平均値を上回っている。平成29年度より基幹管路更新工事に着手したことにより、今後改善していく見込みである。資産のライフサイクルコストを勘案した長期的な視点で最適な更新を進めていく必要がある。②管路経年化率は、創設当初に布設した管路が耐用年数を超過し始めたことにより、前年度より1.18%増加となったが、全国及び類似団体平均値を下回っている。基幹管路更新工事を含め、計画的な更新を進めていく必要がある。③管路更新率は、前年度より0.01%減少したものの、計画的な管路の更新により引き続き全国及び類似団体の平均値を上回っている。今後も長期的な視点で計画的な更新を進めていく必要がある。
全体総括
江南市水道事業は、配水管の老朽化対策として、第1次基幹管路更新計画に基づき、平成29年度より基幹管路更新工事を進めている。また、第3次配水管改良計画に基づき老朽管、小口径管の更新を進めている。今後は各計画に基づき、引き続き基幹管路及び老朽管等の更新を進める予定であるが、事業の実施には多額の資金が必要となることから、当面の補填財源として平成29年度より企業債の借入れを再開する予定である。工事の増加により、今後は企業債残高の増加及び流動資産の減少により経営悪化となることが予測されるため、水道料金の改定を視野に入れた経営戦略を平成31年度までに策定し、水道事業の健全化を確保していく。