経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び⑤料金回収率は、100%以上を維持し平均値を上回っていることから、本業である給水収益で維持管理費を賄うことができており、概ね良好な経営状態といえます。次に、④企業債残高対給水収益比率は、平均値を大幅に下回っていることから、流動資産及び収益に対して起債のウエイトが少ないことが挙げられます。老朽管の更新及び施設の耐震化に係る投資規模を拡大していくうえで、今後の資金確保手段として継続的な起債を最優先で検討していきます。次に、⑥給水原価は、148.46円と平均値よりも低い水準を維持できています。その反面、今後の老朽化・耐震化費用の増大と水需要の減少とが相まって、修繕費等の維持管理費が経常収支を圧迫することが懸念されます。これは③流動比率が減少傾向にあることからも明らかですので、消費税率変更を除き平成13年度以降改定されていない水道料金について、適正な料金体系となるよう見直しを検討していかなければなりません。また、急激な水道料金の引き上げを招くことのないように、定期的な総括原価の算定を実施する体制を構築していきます。次に、⑦施設利用率は、平均値を下回っています。これは、認可された1日最大配水量52,300㎥と現在の総貯水量34,875㎥との乖離によるもので、実際の施設利用率は80.61%となり高い稼働率を維持できています。最後に、⑧有収率について、平均値と比較して高い数値を維持できています。今後も老朽管の更新作業と並行して給水区域内の漏水調査及び水道施設点検業務を継続実施することで有収率維持に取り組んでいきます。
老朽化の状況について
②管路経年化率は27.44%であり、類似団体平均の2倍を超える水準となっています。これは、耐用年数を経過し老朽化した送水管及び配水管等を多く保有していることにほかなりません。また、③管路更新率は0.63%であり、直近5ヵ年において最大値となっていますが、依然類似団体平均を下回る水準である状況に変わりありません。現在、本市の基幹管路である西部送水管の更新及び耐震化事業を平成23年度から平成33年度までを事業期間として実施しているところですが、その他の管路及び施設等についても更新及び耐震化を早急かつ着実に進めていくことが求められています。
全体総括
現在、本市水道事業の普及率は99.7%に達し、市民の生活の基盤として必要不可欠なものとなっている一方、高度成長期に整備された水道施設は、老朽化が進行し、水道施設の経年化率は年々上昇しているにもかかわらず、管路の更新は進んでいない状況です。水道施設の更新・耐震化が適切に実施されなければ、安全な水を安定的に供給することは困難です。さらに、人員削減、団塊世代の退職により、職員の若年化が進み、技術の維持、継承が課題となっています。このような課題に取り組んでいくために水道事業としての中長期的な基本計画として「経営戦略」を策定することが求められています。現在、本市の経営戦略については、平成30年度の完成を目指し、現状分析から着手しており現在策定中となります。また、策定後も定期的な計画見直しを行なうことによって、適正な水準と対価により継続的なサービスを実現していきます。