経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、単年度収支の黒字を示す100%を上回っており、累積欠損金も生じておりません。伊東大川水利使用変更許可に伴い建設仮勘定から本勘定に振り替えられた奥野ダム関連資産や、民営水道事業者との統合により移管を受けた水道施設に係る減価償却費が計上されたことにより経常費用が増加したため、前年度を下回りましたが、類似団体平均や全国平均を上回っており、本市の経営状況は健全な水準が保たれています。流動比率は、類似団体平均を下回っておりますが、全国平均とほぼ同水準にあり、必要な支払能力は確保されています。企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均を上回っておりますが、75%を超える自己資本構成比率を維持しており、企業債に対する依存度は低いものと考えられます。料金回収率は100%を上回っており、経営に必要な経費を水道料金収入で賄うとともに、給水原価については、類似団体平均を下回る水準を維持しております。給水原価の上昇は、減価償却費の増加に伴う経常費用の増加によるものです。施設利用率については、本市は観光を中心とした第3次産業が主要産業であるため、行楽シーズンの水需要の増大を考慮し、適正な施設規模を検討する必要があります。有収率は、平成28年度から0.43%向上し、75.13%となりました。漏水調査や老朽管更新の計画的な実施により有収率の向上を図っていきます。
老朽化の状況について
有形固定資産の減価償却率は、類似団体平均値を若干下回っており、施設の老朽化の状況は他の事業体とほぼ同様の状況であると考えられます。施設の老朽度合いを注視し、老朽施設の更新に向けて財源の確保を検討する必要があります。老朽管対策については、避難所や医療施設等の重要給水施設への給水確保や管路施設の老朽度合等を考慮し計画的に更新していきます。
全体総括
経常収支比率、料金回収率が100%を超え、累積欠損金も生じておらず、本市の経営状況は、引き続き健全な水準にあります。しかし、有収率や管路経年化率等は全国平均値や類似団体平均値と比較して厳しい数値を示しており、計画的かつ効率的な対策が求められています。給水人口の減少等により給水収益が減少傾向にある中で、老朽化施設の更新や耐震化等を適切に進めていくため、業務の見直しによる更なる経常経費の節減や企業債残高の縮減を図るとともに、給水需要に応じた施設規模の見直しや施設の統廃合、管種や老朽度合に応じた更新の優先順位設定を検討し、施設、管路の長期的な更新計画を定め、更新事業費の抑制及び平準化や施設の長寿命化に努めます。