経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、単年度収支の黒字を示す100%を上回っており、累積欠損金の発生も無く、本市の経営状況は健全な水準が保たれています。経常収支比率の上昇は、民営水道事業者(1事業者)との事業統合に伴う経常収益(加入金収入)の増加や、水道施設の効率的な管理運営による経常費用(動力費、修繕費)の減少のためです。流動比率は、類似団体平均を若干下回っておりますが、全国平均を上回っており、必要な支払能力は確保されています。数値の上昇は、流動負債の減少によるものです。企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均を上回っておりますが、75%を超える自己資本構成比率を維持しており、企業債に対する依存度は低いものと考えられます。料金回収率は100%を上回っており、経営に必要な経費を水道料金収入で賄うとともに、給水原価については、類似団体平均を下回る水準を維持しております。数値の変動については、経常費用の節減により給水原価が下がったことが、料金回収率の上昇に繋がっています。施設利用率については、本市は観光を中心とした第3次産業が主要産業であるため、行楽シーズンの水需要の増大を考慮し、適正な施設規模を検討する必要があります。有収率は、平成27年度から3.70%向上し、74.70%となりました。引き続き漏水調査の強化に努め、有収率の向上を図っていきます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率の低下は、伊東大川水利使用変更許可に伴い建設仮勘定に計上されていた奥野ダム関連資産が本勘定に振り替えられたことや、民営水道事業者との統合による水道施設移管により償却資産が大きく増加したためであり、これらの資産の償却が始まるH29年度はH27年度と同程度の償却率となり、類似団体平均を若干下回ると推定されますので、施設の老朽化の状況は他の事業体とほぼ同様の状況であると考えられます。老朽管対策については、避難所や医療施設等の重要給水施設への給水確保や管路施設の老朽度合等を考慮するとともに、財政状況を勘案しつつ計画的に更新していきます。
全体総括
経常収支比率、料金回収率が100%を超え、累積欠損金も生じておらず、本市の経営状況は、引き続き健全な水準にあります。しかし、給水人口の減少等により給水収益が減少傾向にある中で、老朽化施設の更新や耐震化等を適切に進めていくため、経常経費の更なる節減を図るとともに、給水需要に応じた施設規模の見直しや施設の統廃合、管種や老朽度合に応じた更新の優先順位設定を検討し、施設、管路の長期的な更新計画を定め、更新事業費の抑制及び平準化や施設の長寿命化に努めます。