経営の健全性・効率性について
平成28年度決算においても累積欠損金は無く、経常収支比率、料金回収率ともに平成26年度以降改善しています。流動比率は一般会計からの出資金を受けた影響で100%を超えたものの、依然として類似団体の平均値より低い状況に変わりありません。平成29年度からは水道事業費用の28%を占める受水費が10%値下げになることなどから収支が改善し、今後も流動比率は改善するものと考えられます。第6次拡張事業以降の大規模投資の減少により、企業債残高対給水収益比率は減少していますが、類似団体平均に比べて多く、本格化する第7次整備事業に伴い投資額が増加しているため注意が必要です。下水道事業の整備が終了すると、管路の布設替に伴う補償金が無くなり、一層企業債への依存度が高まることから、残高の適正な管理とともに、適切な水道料金の見直しが必要です。効率性の面では、有収率の改善が最重要課題となります。平成29年度から開始した漏水判定機による調査により、5年間で市内全ての水栓の調査を行い、有収率の改善に努めます。
老朽化の状況について
管路更新率は平均よりやや低い値となっているが、管路経年化比率が平均より低いことから一定の更新はできているものと考えられます。しかし有形固定資産減価償却率が類似団体平均に近い水準になってきており、耐用年数に近い資産の増加が伺えます。平成29年度からは簡易水道事業に地方公営企業法の適用を行い、水道事業に会計統合を行いました。水道事業は平成27年度にアセットマネジメント(タイプ3C)を作成済みですが、簡易水道事業についても平成29年度にアセットマネジメントを作成し、今後中長期的に計画的な資産更新が実施できるように努めます。
全体総括
平成28年度は8年ぶりに給水収益がわずかに増加しましたが、全体的に減少傾向であることに変わりありません。毎年漏水調査を行っていますが有収率は依然として低く、有収率の向上が最重要課題となります。平成29年度から検針時に漏水判定機を用いた新たな漏水調査手法を導入し、5年間で市内全域の漏水調査を行い、有収率の向上に努めます。また配水系の見直しを進め、施設利用率の向上に努めます。平成29年度の料金改定では全体で▲0.04%の値下げ改定となりましたが、受水費の10%値下げや、平成28年度に一般会計から出資を受けたことなどにより、収益は改善し、建設改良事業に必要は補填財源も緩やかに増加する見込みです。しかし企業債残高は類似団体平均より高いため、有利な財源の確保とともに、適切な時期に料金の値上げ改定を行う必要があります。