経営の健全性・効率性について
経常収支比率については、H27の133.61%から、H28は128.94%と4.67ポイント減少しているが、直近5年間の推移では、H24の128.72%を上回っていることから、減少傾向は見られず、平均値と比較しても高い水準を維持している。将来的には、人口減少により給水収益の減少が予想されるため、今後も経営の健全性を維持するためには、費用の削減に努めていく必要がある。流動比率については、H27の643.39%から、H28は583.02%と60.37ポイント減少したものの、平均値の357.82%を上回る水準を維持している。企業債残高対給水収益比率については、平均値はH24から減少傾向が続いているが、本市ではH27の302.09%から、H28には317.78%と15.69ポイント増加しており、その要因は、H28に行った紫外線処理施設整備に係る借入によるものである。料金回収率及び給水原価、施設利用率については、平均値に比べ良好な数値を維持している。一方、有収率については、H27の81.63%から、H28の84.07%と、2.44ポイント向上しているが、平均値を下回る状況が続いており、より一層の漏水防止対策が必要な状況である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、50%付近で推移しており、H28は47.63%である。当該指標については、平準化を考慮した更新を行えば45%前後で推移すると考えられることから、持続的な更新を行い現在の水準を維持していくことが重要と考えられる。管路経年化率については、S40年代に整備された管路が更新時期を迎え、施設の老朽化が急速に進行していることを反映し、H24には6.93%であったものが、H28には11.70%と急速に増加している。一方、管路更新率については、H27の0.59%から、H28は0.77%と0.18ポイント向上しているが、直近5年間は1%未満にとどまっており、老朽化の進行に更新が追い付いていない状況である。
全体総括
経常収支比率及び料金回収率については、いずれも100%を超え、平均値を上回る水準を維持しているが、将来的には、人口減少による給水収益の減少が予想されることから、継続して効率的な経営に取り組んでいく必要がある。また、老朽化の状況について、管路経年化率が明らかな上昇傾向を示している一方、管路更新率が1%未満の低い水準にとどまっており、更新ペースが老朽化の進行に追いついていない状況である。管路の老朽化は、有収率の低下や水道水の安定供給に対するリスクに直結するものであるため、更新のスピードアップが必要である。