経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は102.11%で、昨年度に続き100%を超えた。しかし、給水収益が減少し続けていることに加え、平成26年度に大沢第二浄水場が供用開始したことにより減価償却費及び維持管理経費が増加していることなど経営にとって厳しい状況が続いている。平成29年度の純利益は、営業費用の増により前年度と比べ3,093千円の減じたものの黒字であった。引き続き健全な経営に努める。②累積欠損金比率について、平成29年度は40,075千円の純利益であり、累積欠損金も発生していない。③流動比率は204.71%となっている。低下が続いているものの、短期的な支払能力(資金繰り)に問題はない。④企業債残高対給水収益比率は793.21%であり、年々低下しているものの、類似団体と比較して企業債に依存した投資となっている。内部留保資金を一定の水準で維持し、企業債残高の適正管理をしながら計画的な投資を実施する必要がある。⑤料金回収率は95.40%と若干低下した。これは、供給単価が昨年度とほぼ同額の212.47円だったものの、給水原価が218.02円から222.71円に増加したことによる。100%を割り込み、また全国平均を下回る状況は今後も続く見込みであり、しかるべき時期での料金改定が必要となっている。⑥給水原価は222.71円であり、昨年度から若干増加した。職員給与費や支払利息は減となったものの、それ以外の費用がおしなべて増となったことが要因である。依然、類似団体と比較して高い状況にあり、維持管理経費の削減に努めることは当然であるが、施設の統廃合等によりコストダウンを図り、給水原価の圧縮を行っていかなければならない。⑦⑧施設利用率は類似団体と比較して良い数字で適正な施設規模と言える。有収率は74.73%に低下したが、災害・気象条件に起因する漏水事故が大きく影響しているものである。漏水調査に基いた計画的な管路更新を進めつつ災害対応力を高め、有収率向上に努めなければならない。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は39.98%となっており、全国や類似団体平均と比較すると若干良い数値となっている。平成29年度には水道事業計画(変更)を策定し、施設の耐用年数や統廃合を考慮した更新計画と進めることとしている。②管路経年化率は12.75%であり、全国や類似団体平均と比較すると若干良い数値となっているが、このまま推移すると加速度的に増える状況にある。このため、管路評価基準及び更新計画に則り、更新重要度の評価が高い管路から順次更新事業を実施していく計画である。③管路更新率は0.88%となり、全国や類似団体平均を上回る状況に改善してたものの、全管路の更新に長い時間を要することから、満足できる更新率(投資額)ではない。施設の更新と管路更新の費用のバランスを取りながら、計画的な投資額の確保と事業推進が必要である。
全体総括
経常収支比率は100%を超えながらも、料金回収率は100%を下回る状況は、今後も続くものと見込んでいる。一方、投資については水道事業計画(変更)に基づき、今後も施設の更新、統合を進めなければならない。このため、一定水準の内部留保資金の確保を図るためには、料金改定は避けられない状況にあることから、改定をシミュレーションし反映した投資財政計画を作成し、平成30年度での経営戦略の改訂を進めている。