経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、平成25年度において、類似団体平均値を上回っていたが、平成26年度以降においては、類似団体平均値を下回っている状況である。これは費用面での新ごみ処理施設に係る配水設備整備、新浄水場の整備、第6次拡張事業を実施したことにより減価償却費の増加などが影響したものと考える。また、平成29年度においては、収益面での分担金収入の減少も影響したものと考える。②累積欠損金については、過年度から発生はなく健全経営を継続している。③流動比率については、456.96%であり、全国平均・類似団体平均値と比較しても高い状況であり、短期的な債務に対する支払い能力は十分と言える。④企業債残高対給水収益比率については、全国平均・類似団体平均値と比較して高く、新浄水場の整備に引き続き、第6次拡張事業を実施したことなどに伴い高い水準で推移している。⑤料金回収率については、100%を下回っており、給水にかかる費用が上昇している現状に反し、給水人口の減少と節水意識の高まりによる給水量の減少が影響しているものと考えられる。⑥給水原価については、減価償却費の増加に伴い、平成26年度から類似団体平均値を上回っている。⑦施設利用率については、平成28年度と同程度で推移し、全国平均・類似団体平均値と比べてやや低い水準となっている。⑧有収率については、全国平均・類似団体平均値より、一定程度高く、施設の稼働が十分に収益につながっていると言える。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、全国平均・類似団体平均値と比べ低いものとなっている。これは新浄水場の整備に引き続き、第6次拡張事業を実施したことなどによるものと考える。②管路経年化率については、平成28年度同様、昭和40年半ば頃から上水道を普及する目的で急速に布設工事を進めてきたことから、本市の上水道管に占める経年管の割合が高く、他団体と比較しても高い傾向にある。しかし、予算及び管路工事に携わる職員数の減少という問題もあり、少しずつしか経年管を解消できない現状である。③管路更新率については、平成28年度と比較すると大幅に低下している。平成29年度は、更新工事が少なく、一方で、開発に伴う水道管の新設工事が多く、総管路延長が伸びたためと考える。
全体総括
経営の健全性・効率性については、累積欠損金がなく、流動比率が類似団体と比べ高いため、現時点では健全な経営状況といえる。しかし、今後人口の減少等による給水量の低下で経常収支比率、料金回収率の低下や給水原価の増加が予想される。またポンプ場の改良工事や企業債の償還による資金の減少により、流動比率の低下が見込まれる。そのため、近い将来に料金改定をおこなう必要があると考える。また、老朽化の状況については、管路経年化率が全国平均・類似団体平均値よりも高く、経年管の更新に遅れが出ていることがわかる。平成30年度に経営戦略を兼ねた水道ビジョン策定に目処が立ち、これを基礎として、管路更新計画を含む将来のビジョンを明らかにできるようにする。