経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、類似団体は平成26年度の制度改正の影響を受け経常収支比率が増加しているが、本市は制度改正の増加分よりも新浄水場の減価償却費が上回るため、昨年度に引き続き、類似団体平均値を下回っている。また、近年の人件費のベースアップに加え、平成28年度には第6次拡張事業としてポンプ場の改良工事に係る建物の取り壊しをおこなっており、固定資産除却費の増加により経常収支比率が昨年度を下回っている。②累積欠損金については、過年度から発生はなく健全経営を継続している。③流動比率については、533.15%であり、全国平均値・類似団体平均値と比較しても高い状況であり、短期的な債務に対する支払い能力は十分と言える。④企業債残高対給水収益比率については、全国平均値・類似団体平均値と比較して高く、新浄水場の整備に引き続き、第6次拡張事業に伴い高い水準で推移している。⑤料金回収率については、100%を下回っており、給水にかかる費用が上昇している現状に反し、給水人口の減少と節水意識の高まりによる給水量の減少が影響しているものと考えられる。⑥給水原価については、平成26年度から類似団体平均値を上回っているが、これは新浄水場の減価償却が開始されたためである。また、経常費用も増加傾向にあるが、背景には情勢として人件費の上昇があると思われる。⑦施設利用率については、昨年度と同程度で推移し、全国平均値・類似団体平均値と比べてやや低い。⑧有収率については、全国平均値・類似団体平均値より、一定程度高く、施設の稼働が十分に収益につながっていると言える。
老朽化の状況について
②管路経年化率に関しては、平成27年度同様40年程前から本市において上水道を普及する目的で布設工事を進めていたという時代背景があるため、他団体と比較しても経年化率は高くなっている。予算及び人員の問題もあり、少しずつしか経年管を解消できない。③管路更新率に関しては、前年度と比較すると微増している。当年度も、本市で施工した工事の管路延長は更新工事よりも新ごみ処理施設整備に伴う新設工事の方が長く、大規模開発に伴う水道管の新設工事が多かったことが要因となり、伸び悩みにつながったと考えられる。以上より、当年度も老朽化は横ばいあるいは微増の状態である。
全体総括
経営の健全性・効率性については、累積欠損金がなく、流動比率が類似団体と比べ高いため、現時点では健全な経営状況といえる。しかし、今後人口の減少等による給水量の低下で経常収支比率、料金回収率の低下や給水原価の増加が予想される。またポンプ場の改良工事や企業債の償還による資金の減少により、流動比率の低下が見込まれる。そのため、近い将来に料金改定をおこなう必要があると考える。また、老朽化の状況については、管路経年化率が全国平均値及び類似団体値よりも割合が高く、経年管の更新に遅れが出ていることがわかる。平成30年度に経営戦略を兼ねた水道ビジョン策定をおこない、財政計画、施設整備計画もその中で策定していくことで、計画的な経年管の更新及び施設の老朽化対策、料金改定も含め資金の調達方法を検討し、将来のビジョンを明らかにする。