経営の健全性・効率性について
経常収支比率は前年度より1%弱落ちるものの、100%を上回っており、累積欠損金も発生していません。料金回収率についても、経常収支比率と同じ動きを呈しており、健全な水準を維持できています。また、給水原価は平成26年度から引き続いて、類似団体平均値を大きく下回っています。しかし、これらは平成26年度からの会計制度改正の影響が大きく、その制度改正により積算方法が変更されたためです。現金を伴わない収益科目である長期前受金戻入分が、財務諸表上では収入の増となっていますが、現金を伴わないために実態としての経営状況が改善されたとは言えません。そのため、経営状況を判断する上で、注意が必要となります。企業債残高対給水収益比率については、右肩下がりであるものの、現在、管路や施設の更新計画を進めており、今後も計画に充てる企業債の借入が行われることと、給水収益が右肩下がりになることから、著しい減少は見込めません。施設利用率、有収率については類似団体平均値を上回り、良好な数値となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体平均値とほぼ同じ数値となっています。管路経年化率は14%台を推移しており、類似団体平均値を少し上回る数値であり、法定耐用年数を経過した管路を多数保有している状態であるため、管路の更新等が必要となります。管路更新率は計画事業の切替年度であるために大きく下落しており、類似団体平均値を下回っていますが、平成29年度からも継続して管路更新の計画事業は行っていきます。
全体総括
現時点での経営の健全性・効率性は概ね良好であるといえますが、人口の減少や節水型の給水機器の普及に伴う水需要の減少により、給水収益は右肩下がりを続けています。しかし、そういった状況の中でも、老朽化した管路や施設の更新、耐震化を行う必要があり、今後さらなる更新投資の増加が考えられ、当面の事業に対しては国庫補助金・地方債・出資金を財源として取り組み、更新を進めていきます。平成28年度に策定した施設総合整備計画や、見直しを行ったアセットマネジメント、また平成29年度中に策定予定である経営戦略に基づき、今後も安定した水道事業を運営できるように取り組んでいきます。