経営の健全性・効率性について
各指標とも平成26年度に大きな変動があるが、その要因として公営企業会計の制度改正と当市の料金改定が挙げられる。平成28年度は、前年度とほぼ同水準であり、経営収支比率・料金回収率は平均値を上回り、企業債残高対給水収益比率についても平成14年度以降企業債の借入はしていないため、類似団体と比較して低いものになっている。しかしながら、近年の人口減少や節水意識、節水機器の普及から配水量が減少傾向にあるため、施設利用率は平成28年度については、ほぼ前年並みではあるが、下降傾向にあり、平均値を下回るものになっている。また、有収率が類似団体を大きく下回るものとなっており、有収率改善に向けた対策が必要である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、類似団体・全国平均とほぼ同水準である。管路経年化率は、平成27年度にアセットマネジメント(資産調査)を行い、これに基づいた更新計画により、前年対比でも減少し、類似団体・全国平均を大きく下回る結果となった。しかしながら、今後数年間に耐用年数を迎える管路も多く、更新サイクルを考えた場合、現在保有する全ての管を更新するには時間がかかりすぎるため、平成28年度に策定した新水道ビジョンに基づき計画を実行していく。管路更新率については、前年対比で減少しているものの、類似団体・全国平均とほぼ同率である。
全体総括
平成26年度の18年ぶりの料金改定による給水収益の増収及び施設の統廃合などの経費削減による費用の減少から経営面が改善され、老朽化した施設の更新も概ね計画通り実行され、現状では安定した経営状況といえる。しかしながら、水道事業を取り巻く環境は全国的にも厳しい状況にあり、健全な状態が将来にわたり続く保証はない。当市においても有収水量が減少傾向にあること、施設・管路が更新時期を迎えていることなどから、将来にわたり健全経営、安定供給するために、財政面の更なる強化と費用削減などの経営努力、老朽化した施設・管路の更新、有収率の向上などの課題を計画的かつ効率的にクリアしていく必要がある。