経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は水道料金引き上げ、長期前受金の影響により100%を超えた水準で推移しています。今後は人口減少に伴う料金収入の減少が予想されるため、引き続き、経営の効率性を高めていきます。②累積欠損金比率はH26に0%となりました。今後は老朽化施設更新費用等の増加も見込まれるため、引き続き計画的な事業運営に努めます。③流動比率はH29年3月末時点で大型事業に関連する未払金の割合が増えたためにH27と比較して大幅に低下していますが、現金等については、十分な余力を確保しています。④企業債残高対給水収益比率は大型事業に関連する借入により、企業債残高が63%に増加しました。今後もリニア関連の大型事業により設備投資が増えますが、借入は収支計画に基づき適正に発行します。⑤料金回収率は100%を超えた水準で推移しており、引き続きコスト削減等の経営改善を行い、健全経営を維持していきます。⑥給水原価は簡水統合に係る業務委託などによりH27と比較して上昇しました。今後も施設更新による減価償却費の上昇により給水原価も押し上げられると予想されますが、経営の効率化により給水原価を抑えるよう努めます。⑦施設利用率は類似団体と比較して高く、施設規模や稼働状況は良好に推移しています。⑧有収率は類似団体と比較して低い割合でありますが、効果的に漏水修繕が行われた結果、H27年度と比較して有収率は向上しました。引き続き、計画的な漏水修繕及び管路更新に努めます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率はH28は管路更新率が高かったことから微減となりました。②管路経年化率は、類似団体と比較して低く推移しているもののH27と比較し、大幅に上昇しており、水道管の布設時期が集中していたこともあり、引き続き老朽化した管路が急速に増加していきます。③管路更新率は下水道布設工事などの際に水道管耐震化工事を行っているため、類似団体と比較してやや高い水準で推移しています。ただし、このままのペースで管路更新を行った場合、80年以上の期間を要することになります。今後は経営戦略を指針とし、計画的な管路更新を行うとともに、施設統廃合やダウンサイジングの検討などを行い、効率的な事業経営に努めます。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の分析から、現状では経営の健全性・効率性が確保されている状態であると言えます。しかし、今後の人口減少等に伴う水道料金収入の減少、リニア関連の設備投資、管路更新費用等の増加が見込まれることから、更なる経費削減を進めるとともに、有収率を向上させ、経営の効率性を高めていく必要があります。「2.老朽化の状況」の分析から、法定耐用年数を超える施設が今後増加するため、計画的な更新を実施するとともに、地震や気象災害に強い水道施設としていくことで水道事業の経営基盤の強化を行います。将来にわたって安全・安心な水道水を安定的に供給していくためにも、今後も引き続き経営の健全性・効率性を高め、持続可能な水道事業運営に努めていきます。