経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成24年の料金改定により一時的に改善したが、近年の人口減少などにより下降傾向だった。平成29年度は市内の簡易水道事業を上水道に統合した結果、減価償却費や支払利息が増加し、大幅に低下した。また、供給原価の上昇が給水収益の上昇を上回ったため、⑤料金回収率は100.1%と100%は切らないものの厳しい状況となった。同じく④企業債残高対給水収益比率が大幅に増加したのも、簡易水道事業の企業債を引き継いだことによるものである。このように簡易水道事業との統合により、経営の健全性はマイナスになったが、⑥給水原価は、水量が豊富で水質が良好な自己水源をもち、取水や浄水にかかる経費を抑えることができるため、平均値の70%と依然良好な数値を保つことができた。⑦施設利用率は80%前後を推移しており、需要量に対して適正な規模を保っているといえる。しかし、⑧有収率は60%台と低く、施設の稼働が収益に繋がっていない状態が続いている。平成25年度より重点施策として実施している老朽管の長寿命化が結果に結びついていないことを示している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は42.3%となったのは、比較的取得年度の新しい簡易水道事業の資産を引き継いだことによるものである。また、②管路の経年化率が12.94%と平均値を下回る結果になったのも、同じように取得年度の新しい簡易水道事業の管路を引き継いだことによるものである。これに対し、③管路更新率は簡易水道事業の統合により総延長が長くなった結果、0.76%と低下している。全ての管路を更新するのに100年以上要する状況に変わりはなく、これまでの老朽管の更新事業をさらに推し進める必要がある。
全体総括
簡易水道事業の統合で企業債の負担が増加し、給水原価の増加ほど給水収益が伸びない厳しい経営状況に置かれている。その中でも、有収率の改善及び管路の老朽化対策のため、老朽管の更新を避けることはできない。老朽管の更新をさらに進めるためには、財源を確保する必要がある。これまでも経費の抑制を行い健全な経営を行ってきたが、今後も経費を抑制するとともに、財源の確保に向けて将来的な料金改定を検討していく。