経営の健全性・効率性について
①経常収支比率では、年々費用が微増したことにより、値が下降傾向にあったものの、決算では黒字を確保してきている。更には、平成28年度では10月検針分より水道料金改定(値上げ)を行ったことで給水収益が増加となり、前年度比率を大きく上回る結果となっている。②累積欠損金比率においては、欠損金は生じてはいないが、適切な収益の確保、及び経費の削減を引き続き図っていく必要はある。③流動比率では、決算時の未払金額によっては比率が変動し、一概に各年度との経年比較をすることはできないところもあるが、近年の経過では債務に対する支払い能力は確保できていると言える。④企業債残高対給水収益比率では、類似団体との比較では5割弱程度上回る値となっているが、若干の減少傾向にもある。今後も引き続き企業債借入は、収支のバランスを考慮しつつ、健全性を維持しながら、適正範囲での有効活用を図っていく必要がある。⑤料金回収率は、近年100%を下回る状況にある。これは給水収益が増加し供給単価も増とはなっているものの、これ以上に費用の増加に伴う給水原価の増が要因となっている。適切な料金収入の確保と同時に、経費節減が必須の課題である。⑥給水原価は、平均値以下を持続しているが、経年比較では若干の微増傾向が見られる。経費の増加が原因であることから、今後の維持管理費の削減を検討していく必要がある。⑦施設利用率は、近年では平均値を上回っていたが、一日平均配水量の減少により平均値とほぼ同等となった。適正な施設規模の構築が図られていると評価できる。⑧有収率については、改善傾向にあったものの、近年は伸び悩む状況にある。平均との比較では、依然として低い値となっていて、今後の老朽化施設、及び管路更新事業の更なる推進が必須である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、類似団体平均と比較すると低い状況であるが、老朽化が進行している状況が読み取れる。②管路経年化率が、平成26年度から平成27年度にかけて大きく増加したのは、管路全体の見直しにより、布設年度が不明である管路を経年化した管路としたためである。今後も布設年度不明管を精査し、正確な数値に見直していく。③管路更新率は、浄水施設・設備の更新や施設統廃合に伴う管路の新設等を優先した影響により、平成25年度以降は減少したが、その後、類似団体平均付近まで増加している。老朽化の状況としては、類似団体と比較すると、管経年化率が高く、管路の老朽化が進んでいることが推察される。今後は、更新・耐震化計画に基づき施設・設備・管路の更新・耐震化を進めていく。
全体総括
経営の健全性・効率性については、平成26年度に策定したアセットマネジメントによる中長期計画について、より現実性の高い更新計画や財政計画に見直すため、平成28年度に実施計画を策定した。さらに、経営基盤を強化し、健全な事業運営を維持していくため、経営戦略を策定する。平成28年度の料金改定により給水収益が増加となっているが、近年の料金回収率は100%を下回っており、有収率も類似団体平均と比較すると、低い状況が続いている。有収率の向上のため、漏水調査及び更新・耐震化計画に基づいた、施設・設備・管路の更新・耐震化を推進し、無効水量の減少を図る。経費・維持管理費の削減についても、引き続き推進していく。