経営の健全性・効率性について
平成28年度に簡易水道事業の統合と水道料金改定を行い経営の安定化を図ってきたが、平成30年7月に発生した豪雨災害により長期間の断水を余儀なくされ、有収水量及び給水収益が年度当初の想定よりも大幅に減少した。そのため、いくつかの経営指標が想定外に悪化した。①経常収支比率については、経常収益の大部分を占める給水収益が豪雨災害により減少したたため、前年度比6.15%のマイナスとなり、⑤料金回収率についても同様に前年度比7.01%のマイナスとなった。いずれの数値も100%以上を維持しているが豪雨災害の影響を大きく受けた。⑥給水原価については当市の不利な地理的要因により、類似団体平均値よりも高い数値で推移していたが、豪雨災害による有収水量減少の結果、前年度比15.56円のプラスとなり平均値との差が大きくなった。⑦施設利用率については、断水により配水量が減少したが数値に大きな影響はなかった。しかし、断水に伴う応急給水や、断水期間における水道料金減免により有収水量が減少し、⑧有収率は過年度と比較して大きく減少した。類似団体平均値との比較では、③・④について数値は良好で短期・長期ともに財務上問題なく、①・②・⑤も、豪雨災害による影響を受けてもなお平均値よりも良好であり現状は経営の健全性が保たれていると言える。しかし、⑥~⑧は平均値に及ばず施設効率の根本的な改善を必要とする。
老朽化の状況について
②管路経年化率については前年度から6.32%上昇し19.80%となった。これまでは類似団体平均値よりも低い数値を維持していたが、今年度は平均値である16.27%を上回った。当市の管路布設状況は昭和50年から昭和57年までの8年間で管路総延長の約55%を占めるため、今後当該管路が法定耐用年数を経過することにより数値が大きく上昇することが見込まれている。③管路更新率については、豪雨災害の復旧業務を優先したため通常の管路更新を十分に実施できず、過年度と比較して著しく低い数値となった。現在、令和5年度までの第7次整備事業計画期間中であるが、災害復旧等による整備事業計画の遅れを考慮し、優先順位をつけて限られた財源で効率的に管路等の更新を進めている状況である。
全体総括
平成30年度決算においては、豪雨災害の影響を大きく受けているため過年度や類似団体平均値と単純に比較することができない。しかし、豪雨災害の影響を無視したとしても、給水人口の減少等に伴う給水収益の減少や管路等の老朽化が今後確実に進み、今以上に厳しい事業運営となることが想定され、更なる経営の引き締めや施設の効率化が必要となる。経常収支比率や企業債残高対給水収益比率、料金回収率等が平均値以上で経営状況に比較的余裕のある今、積極的な更新投資を行う必要があり、また、更なる合理化・効率化のために水道企業団との統合や水道事業の広域化なども検討し、計画的に安定した運営ができるように努力していくことが求められる。