経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:平成30年度は100%以上となっていますが、簡易水道事業を統合したことで減価償却費が大幅に増加し、前年度比▲2.29%となり、全国・類似団体平均を下回っています。今後、人口減少に伴い有収水量は減少し続け、施設老朽化に伴う維持管理費用の増加が予想されるため、更なる経営健全化を図る必要があります。②累積欠損金比率は発生していません。③流動比率:平成30年度は類似団体の平均値を上回っていますが、簡易水道事業の統合により翌年度償還予定の企業債が増加したことで、前年度比▲137.96%と大幅な減少となっています。今後、老朽化した施設更新により現金が減少することが懸念されます。④企業債残高対給水収益比率:簡易水道事業の統合により前年度比148.41%と大幅に増加し、全国・類似団体平均を大きく上回っています。今後、老朽化した施設更新に際して、企業債残高を抑制しつつ、料金改定の検討をはじめ経営改善に努める必要があります。⑤料金回収率:簡易水道事業の統合や施設の老朽化により、経常費用が増加し100%を下回っています。今後の有収水量の見通しから、現行料金では当該数値の改善が見込めないため、更なる経費削減努力と適正な料金水準の検討が必要です。⑥給水原価:⑤と同様、簡易水道事業の統合や施設の老朽化により、経常費用が増加し、全国・類似団体平均は下回っているものの前年度比9.5円と大幅な増加となっており、更なる経費削減努力が必要です。⑦施設利用率:合併後、旧5町の施設を引き継いだため多くの施設を有しており、全国・類似団体平均を下回っています。また、平成30年度から簡易水道事業を統合したため、前年度比▲1.16%となっています。施設更新の際には、統廃合や合理化の検討が必要です。⑧有収率:類似団体と比較して低くなっていますが、毎年度漏水調査を行い継続的に修繕工事を行っています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率平成30年度に比較的新しい施設が多い簡易水道事業を統合たことで、全国・類似団体平均を下回る結果となりましたが、依然として法定耐用年数を迎える管路及び施設が数多くあるため、計画的な更新が必要です。②管路経年化率当市は、管路の更新が耐用年数にあわせて行えていない状況にあり、全国・類似団体平均を上回る結果となっています。今後、比較的新しい管路を有する簡易水道事業統合による影響を除き、増加傾向となる見込みであるため、計画的な更新が必要です。③管路更新率漏水による影響が大きい老朽管を優先的に、漏水修繕工事や配管替工事等により更新を行っていますが、全国・類似団体平均と比較すると低い水準となっています。平成30年度から、国の交付金等を活用し基幹管路更新事業を実施していますが、限られた財源の中で計画的な更新が必要です。
全体総括
平成30年度決算は、簡易水道事業を統合して初めての決算となりますが、上記指標の「料金回収率」では100%を下回り、給水費用を給水収益で賄うことができず、老朽化が進む施設・管路の更新費用を捻出することが困難な状況です。当市水道事業の経営状況は、人口減少による影響から給水収益は減少し続けており、水道施設や管路の老朽化も顕著にあられています。このような状況の中、平成30年度に経営戦略を策定し、安定的な水道水の供給に必要不可欠な投資計画の財源を確保するために、水道事業運営審議会の答申に基づき、適正料金の設定と経営の更なる効率化を図り、持続可能で健全な水道事業を実現に努めます。