経営の健全性・効率性について
グラフ①の経常収支比率から、経常収支が黒字を保っていること、グラフ④の企業債残高対給水収益比率から、企業債等の借入金残高がほとんどないこと、グラフ⑤の料金回収率が高いことなどから、現状では当市の経営状況は健全性が高いと言えます。しかし、今後は老朽管更新費用の増加が見込まれるため、その財源として企業債の借入を予定していますのでグラフ③の流動比率は減少し、グラフ④の企業債残高対給水収益比率は増加していくものと予想されます。今後の経営状況については、給水人口の減少や市民の節水意識の向上、専用水道保有企業の増加などによる料金収入の減少により経営状況は徐々に悪化していくものと予想されます。そのため、グラフ⑦の施設利用率が示すように、今後も施設利用率は低い状況が続くと見られますので、施設更新の際には適切な規模となるよう施設のダウンサイジングを行い更新費用の抑制に努める必要があります。
老朽化の状況について
グラフ①の有形固定資産減価償却率や、グラフ②の管路経年化率が高い数値を示しており、類似団体よりも施設等の老朽化が進んでいると言えます。浄水場については、北郡山浄水場、昭和浄水場とも老朽化が激しいため、改修するにあたり高額な費用が必要となりますので、施設規模の適正化や施設の統廃合も検討し、更新費用の圧縮を図る必要があります。また、管路については、40年以上経過した管路が28%、30年から40年経過した管路が25%あり、グラフ③の管路更新率は類似団体よりも高いものの平均年間1.2%程度のため、さらなる老朽化が進むと予想されますので、水道事業ビジョンに従い年1.8%の更新を目処に管路更新を進めていく予定です。
全体総括
現在の経営状況は比較的良好ですが、今後、配水量の減少による料金収入の減少や施設の老朽化が進行すると予想される中、老朽化対策費用を確保して計画的に施設整備を進めていく必要があるため、水道事業ビジョン及び施設整備計画に基づき、29年度より計画的に老朽管の更新を実施しています。そのため、更新費用の財源として今後企業債の借入も必要となります。また、現在、検針・料金徴収・開閉栓・窓口業務等の包括委託、浄水場の施設運転・維持管理の業務委託、自己水より割高な受水費を配水量の約50%に抑えることなどにより経営の効率化を図っていますが、配水量の減少により施設利用率が年々低下していますので、施設の更新に合わせ、浄水能力や配水池容量を縮小していく予定です。