経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、③流動比率、⑤料金回収率は、前年度に比べて上昇し、①は0.32ポイント、③は22.33ポイント、⑤は1.14ポイントとなりました。①と⑤については、29年度に人件費や減価償却費等の増により減少したものが、30年度に人件費等の減により増加しましたが、いずれの項目も、全国平均・類似団体平均値に比べて下回っています。今後も将来の更新需要に備え給水収益の増収を図り、内部留保資金を増額できるよう料金形態の見直し等を検討し、経営を強化する必要があります。④企業債残高対給水収益比率が徐々に上昇しています。平成26年度より基幹配水管の耐震化のために大規模な工事に着手し、その財源として企業債の借入を15年ぶりに再開したことによります。今後は、起債充当率を抑えながら計画的に借入を行う予定です。⑥給水原価は、前述のとおり、人件費等が減少したため前年度より1.68円減少し115.99円となり好転しました。また、平均値よりも低い水準を維持できています。⑦施設利用率は、全国平均・類似団体平均ともに下回っていますが、未整備の第2供給点における計画値9,500㎥を除いた現有施設の計画配水能力36,000㎥に対する割合は、67.76%となっており、適切な施設規模と言えます。⑧有収率は、類似団体平均を上回り安定しています。更なる向上を目指し、計画的に老朽管の更新を進めていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率ともに上昇傾向にあるのは、第3期拡張事業で整備した配水池、機械及び装置、管路が更新時期を迎えているためです。また、当市は、類似団体に比べて下水道事業の普及が早く、同時施工で布設替をした管路も法定耐用年数を経過し始めているため、②管路経年化率は、類似団体平均を上回っています。③管路更新率は、上昇傾向にありますが、類似団体平均を下回っており、更新が追いついていない状態です。急激な老朽化に対応するため老朽管更新のペースアップが重要課題となっていますが、工事費や工事担当職員の確保が懸案となっています。
全体総括
人口減少や節水意識の向上、節水機器の普及などにより水需要の伸びを期待することは難しく、これまでの整備により増大した資産をいかに維持し、持続可能な水道事業であり続けるかが重要な課題です。このような状況の中、施設や設備に関する投資とその財源見通しを試算し、収入と支出を均衡させた投資・財政計画である「経営戦略」を平成30年度に策定しました。これに基づき、更新投資に必要な資金を確保するため、料金改定の検討を行います。また、計画期間の中間である令和5年度を目安に経営戦略の見直しを行い、実効性の高いものとしていきます。また、将来の施設のあり方を踏まえた水道施設整備基本計画を策定し、更新時期や、規模の見直しを検討し、施設の合理化や、機能確保に努めます。