経営の健全性・効率性について
①は、26年度から継続して黒字である100%を超えて推移し、経営の健全性・効率性は保っている。30年度は29年度に比べ比率が上がり、これまで類似団体の平均値を下回っていたが、経常費用の減少により30年度は平均値を上回った。②は、会計制度改正の影響や28年度の料金改定から、累積欠損金が発生していないため0%を保持している。③は、1年以内に支払うべき債務に対する支払能力として一般的に100%を超えている必要があるが、30年度実績値は349%余と十分の数値となっている。30年度は29年度に比べ9.59ポイント増となり、類似団体平均値もわずかに上回っており、負債に対し十分な流動資産を有し、支払能力を保持している。④は、26年度から新規借入を再開した。28年度の料金改定により給水収益が増加したことや、過去の高利率の起債の償還が完了したことにより比率は26年度からこれまで年々減少している。類似団体平均値と比較しても低い数値となっている。⑤は、28年度の料金改定による給水収益の増などの影響により、料金回収率は100%を超えており、類似団体平均値も超えていることからも適切な料金収入が確保されている。⑥は、26年度からほぼ横ばいであり、類似団体平均値に比べ安価で給水ができている。⑦は、26年度からほぼ横ばいで大きな変動はなく、類似団体平均値に比べて利用率は高いことから効率的な運営ができている。⑧は、管の漏水頻度を考慮し更新を計画的に進めてきており、若干ではあるが有収率は90%台で年々増加している。類似団体平均値を上回っており、効率的な施設運営ができている。
老朽化の状況について
①は、年々数値が増加してきており、法定耐用年数に近い資産が増えてきていることが表れている。これは、類似団体平均値と同じ傾向にあり、数値も平均値に近くなってきている。なお、30年度にはアセットマネジメント計画を策定し水道ビジョンの見直しを行った。今後計画的に更新をしていく。②は、27年度から老朽管更新(耐震化)第2次計画(平成25年度策定)に基づき、基幹管路の耐震化工事を計画的に進めている。30年度には配水支管の更新計画の策定を行った。今後計画的に更新を実施する。30年度は29年度に比べ1.13ポイント増となったものの類似団体平均値と比較すると低い水準である。③は、基幹管路耐震化事業において、更新単価が割高である口径300㎜の配水管更新を優先して実施したため、事業費に対して更新延長が減少した。このため、28年度と比較し、29、30年度実績値は減少傾向となっている。なお、類似団体平均値に対して下回る結果となっている。
全体総括
28年度に料金引上げ改定を行ったことや、給水人口及び水道料金収入の微増により、経営の健全性・効率性は保たれており引き続き良好の状態である。30年度にはアセットマネジメント計画や配水支管の更新計画を策定し、事業費の平準化を図りながら今後の施設の老朽化や管路の耐震化を計画的に進めていく。ただし、当市においても将来的には人口減少に転じることが想定され、水需要の減少により水道料金収入も減少となることが見込まれる。その反面、水道施設の老朽化による更新時期の到来や、耐震化の推進により建設費用は増加傾向にあり、その財源の確保が課題となっている。そのため、30年度には更新時期や費用の平準化を図るとともに今後の財政収支見通しを含んだアセットマネジメント計画を策定した。これに伴い、令和元年度に水道料金等懇話会を開催し、有識者や使用者代表から料金のあり方など経営についての意見を求めていく。その後、令和2年度に経営戦略を策定する予定である。今後も引き続き、安定した健全経営の持続に努めていく。